My important place (ページ11)

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黒side

泊まりの仕事が終わって、特に脈絡のない話をわちゃわちゃするすばるとヒナと一緒に合宿所へ戻ると、レッスン部屋の前に見たことのない後ろ姿があった。

「あんなやつ、おった？」

すばるは俺に聞いてきた。

「……さぁ。」

さして興味がない俺はそう答えた。

レッスン部屋をのぞく小さくて華奢なからだ。

「誰？」

すばるが声を掛けるとゆっくり振り返った。

綺麗に整った顔。

そいつは話しかけたすばるを見ると、

「ぇと、……掃除婦、です。」

そう答えた。

疑問に思うより先にヒナが苦笑してつっこんだ。

「なんやねんっ、掃除婦って。」

少しの間、

「ふふっ」

あ………笑った。

笑うと大人びた表情は隠れ、ぐっと幼い印象。

「失礼しました。田山Aです。

3日前からこちらでお世話になっています。

献立のリクエスト、
掃除の行き届いていない所や気になることがあったら、
何でも言ってください。」

よろしくお願いします、と言いながら深々とお辞儀をすると、俺らの返事も待たんとするりと横を抜けて去って行った。