【ut】梅毒さんのもてなし方 ページ8
『1年後に故郷で』
そう言われてラッキーだと思った。
手を出しすぎててんやわんやしてた数多の女を合法的に捨てられる。
クーデター起きた瞬間に手のひら返しやがってあの女ども。
挙げ句の果てには何股もかけてたのが一連の騒動で明るみに出て慰謝料まで請求してきやがった。
お前ら何股どころかどの男にも股開くくせして図々しいっちゅーねん。
あー！これでやっと逃げられる！
そう思って城門の横で一服ついて空を見上げた時、
青い瞳の女の顔が思い浮かんだ。
……そういやあいつ、慰謝料どころか連絡１つよこしてこうへんかったなー
革命の最中、女の敵として祭り上げるために“旧帝国の幹部、忌むべき7股”とかいう見出しつきで町中に号外が配られたから知らんことはないはずなんやけど。
城なんて丸焼きやったし死んだと思ったんかな。
てか7股ちゃうわ4股や。変に誇張しやがって。
……まあ、そんなもんなくたって──────
「───気づいてたよなぁ、あの顔」
空にふーっと白い煙を吐き出した。
毎晩のように布団を抜け出しスーツに着替える俺を見て、あいつは必ず「どこに行くの」と聞いてきた。笑いかけもせず短く、「仕事」とだけ答えた俺に対して、あいつは静かに笑って「行ってらっしゃい」って返してきたな。
そういえば最後に交わしたのもその言葉。いや、交わしたとは言えないんだろう。
最期になるなら「行ってきます」ぐらい言ってやればよかったわ。
彼女が、あの女たちのように騒ぎたてることなどあるわけがないのだ。
あいつは戦火の煙程度で穢せるような代物ではない。
他の誰かのせいにできるはずもなく、
あの青を濁せるのも、そして濁したのも、紛れもなく俺だけ。
ここまできても自分をつき動かすのはくだらん独占欲か。
もし、
この空の下で一息つかなければあるいは、彼女を思い出さずにすんだのかもしれない。
だが恨む気持ちなんて微塵も起きないほど、
空の青は美しかった。
火をつけたばかりの煙草をぐしゃぐしゃと踏み潰す。
こうして俺は、嫁という何よりも重い足枷を拾いに戻ることを決めたのだ。
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もちえもん(プロフ) - 雛菊さん» はい！どの作品も言い回しや話の切り方、設定など参考になりますし大好きなので楽しみにしております〜(*´▽｀*) (2017年5月21日 9時) (
レス) id: 801b233da8 (このIDを非表示/違反報告)
雛菊(プロフ) - もちえもんさん» もちえもんさん！いつも本当にありがとうございます！上手く回収できていたら嬉しいです（笑）最近設定が重すぎたのでかる〜いものを書こうと思います〜 (2017年5月21日 9時) (レス) id: c858a49007 (このIDを非表示/違反報告)
もちえもん(プロフ) - 2度目のコメントですみません、本当に！素晴らしいお話をありがとうございました！！展開が読めず、更新される度にどうなるのかとワクワクしたものです。｢太陽を掴んだ｣という言葉が最初から読んできた身としてはたまらなかった…。ゾム楽しみですぅ…m(_ _)m (2017年5月21日 0時) (レス) id: 801b233da8 (このIDを非表示/違反報告)
雛菊(プロフ) - もちえもんさん» あああどうもありがとうございますご贔屓にして頂いて……！言葉選びは好きで試行錯誤をしていることなので、褒めて頂けて嬉しいです（泣）創作は切磋琢磨が1番だと思うので拙いながらも参考になるのであればどうぞご遠慮なく！こちらこそよろしくお願いします。 (2017年5月15日 1時) (レス) id: c858a49007 (このIDを非表示/違反報告)
もちえもん(プロフ) - お世話シリーズから何度も繰り返し読ませていただいていますが素晴らしいです、本当に。どの話もど好みで今書かれている話も本当に好きです。言葉の選び方が本当に大好きです。参考にしたいですが私の文章力では程遠い…！これからも愛読させていただきますm(_ _)m (2017年5月15日 1時) (レス) id: 801b233da8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛菊
| 作成日時：2017年5月4日 9時
