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バトンをいち早く受け取るため、アンカーはみんなしてテイクオーバーゾーンの前ギリギリまで進んでいく。
「この赤団のやる気見たらわかるやろ。声援があるだけでこの勢いだ。応援ってのはやる気の着火剤みたいなもんなんだろう」
「いやー女の声援やからここまで燃えてんねやろ」
「そう、女だ」
突然、声色を変えてやけに力強く発されたその言葉に、俺は足を伸ばしながら首をかしげた。
「女の声援が近くにあるかないかで変わるんだよ」
グルッペンは赤団の応援席のチアリーダーをぼんやり見て、どこか懐かしそうに呟く。
どうして今日、こいつはこんなにもらしくないのか。
「走り込みのやる気が出なくなって、もしかしてと思ってあれ作ってみたんだけど。やっぱあいつじゃなきゃあかんかったんやな」
「────は？」
「───先に行くぞトン氏」
目の前をふっと赤いバトンが駆け抜けた。
っまずい、ボーッとしとる場合とちゃう───！
自分の意識を無理やり現実に引き戻すと、迫り来る前の走者が目に飛び込んできて、慌てて助走を始めた。
どうにかバトンパスは成功。だが、いかんせん雑念が多い。
ああもう本当にあんたって人は！なんでそんなずる賢いねん！
『おっと先ず飛び出したアンカーはやはりグルッペン！』
『続いてトンちが飛び出すぅ！最近実力が拮抗してる2人、これは見ものですねえ！』
『えっ！？トントン速ない！？』
『やべえなあのグルちゃんに追いついてんで！』
憤る気持ちを走ることにぶつけたら、案外上手くいった。でもがむしゃらに走ってるうちにいらん思考が頭を巡るのだ。
あんたら、もう両想いってことなん？どないせー言うねん、俺は。もしグルさんが動いたら─────
そう考えたら一瞬、足に力が入らなくなった。
『おおっと少し差が開く！これはグルッペンが加速したのかトントンが減速したのか！？』
さっきの言葉は俺を惑わすための策略やったのかもしれへん。でもそうじゃなかったら、と考えずにはいられない。
理屈でどうにかなるもんとちゃうねんこんなん……！
本当かどうかじゃなくて気にしてる時点で俺は負けてる。
俺が一歩進めばあんたは二歩進んで。
足が重い。眩しくて上を向けない。
最終コーナー、ゴールまでの直線。
そうして必死に走ってたら、顔を上げた時にゴール付近にいるAと目が合った。
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もちえもん(プロフ) - 雛菊さん» はい！どの作品も言い回しや話の切り方、設定など参考になりますし大好きなので楽しみにしております〜(*´▽｀*) (2017年5月21日 9時) (
レス) id: 801b233da8 (このIDを非表示/違反報告)
雛菊(プロフ) - もちえもんさん» もちえもんさん！いつも本当にありがとうございます！上手く回収できていたら嬉しいです（笑）最近設定が重すぎたのでかる〜いものを書こうと思います〜 (2017年5月21日 9時) (レス) id: c858a49007 (このIDを非表示/違反報告)
もちえもん(プロフ) - 2度目のコメントですみません、本当に！素晴らしいお話をありがとうございました！！展開が読めず、更新される度にどうなるのかとワクワクしたものです。｢太陽を掴んだ｣という言葉が最初から読んできた身としてはたまらなかった…。ゾム楽しみですぅ…m(_ _)m (2017年5月21日 0時) (レス) id: 801b233da8 (このIDを非表示/違反報告)
雛菊(プロフ) - もちえもんさん» あああどうもありがとうございますご贔屓にして頂いて……！言葉選びは好きで試行錯誤をしていることなので、褒めて頂けて嬉しいです（泣）創作は切磋琢磨が1番だと思うので拙いながらも参考になるのであればどうぞご遠慮なく！こちらこそよろしくお願いします。 (2017年5月15日 1時) (レス) id: c858a49007 (このIDを非表示/違反報告)
もちえもん(プロフ) - お世話シリーズから何度も繰り返し読ませていただいていますが素晴らしいです、本当に。どの話もど好みで今書かれている話も本当に好きです。言葉の選び方が本当に大好きです。参考にしたいですが私の文章力では程遠い…！これからも愛読させていただきますm(_ _)m (2017年5月15日 1時) (レス) id: 801b233da8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛菊
| 作成日時：2017年5月4日 9時
