【3】太陽に焦がれる少年 ページ32
「真城、グルさんのこと好きやろ」
グルッペン、あんたはええな。
自然に名前で呼べるし、こんなバカな話しかけ方せんでもええんやろ？
「んー、あー……バレた？」
唐突に話を切り出された彼女は、一度大きく伸びをしてから案外さらりと言ってのけた。
あの時と同じ、夕陽が差しこむ放課後の教室。ただ違うことはグルッペンがいないこと。三年生のクラス替えで俺と真城はD、グルさんだけがA組になった。
最悪で最高の、そんな偶然あるんやと思った。
「なんや、意外と普通に答えんねんな。つまらんわー」
「こんだけ一緒にいるんだからトントンにはバレても仕方ないでしょ〜」
せやったら俺にも気づけや、バーカ。
「ていうかトントンが一番グルちゃんの魅力わかってそうだし！」
そう言ってはにかむ彼女を見て、俺は一瞬きょとんとしてしまった。
あの人の魅力か、あぁなんかまあ確かに、腑に落ちたわ。
「ええ〜！恋してる真城さんよりも僕の方が詳しいって？まっさか〜！そんなことあらへんやろ〜！」
「んあ〜！ムッカつくなー！」
茶化した感じで伝えると彼女は拳をぷるぷる震わせて天を仰ぐ。
俺はそれを横目で見ながら真城の前の席に移動した。椅子に逆向きに跨って、向かい合う彼女の手からシャーペンをひったくると「ちょっと、」と怒られる。それでも俺が「グルさんの魅力やろー？」と喋り始めると何も言わんくなるもんやから、シャーペンの芯折るかと思った。現金すぎんであんた、絶対今俺のがムカついとるからな。
「まずは統率力やなー」
「……トントン絵上手いね」
「せやろ？」
彼女の数学のノートに腕組みをするグルさんを描いた。我ながら楽しそうな感じがよく似てると思う。
「次は巧みな弁舌かな」
「そうね」
さっきの絵に吹き出しをつけて今期生徒会の公約を書いた。
「ギャップを誘う子供っぽさとか？」
「うんうん！」
背景に板チョコの絵を描くと真城が嬉しそうな声を出す。顔は見えない。想像はつくんやけど。
「……でもやっぱ、自信家なとこやわ」
俺は、と付け足してから何口走ってんねやろと我に帰った。
完成したグルさんの絵は最後に描いたデデーンという文字がいい味出しててめちゃくちゃ良い仕上がりになっている。
「うっわあ！そっくり！」
真城がノートを掲げてすごいすごいと子供みたいにはしゃぐ。顔がノートで隠れて割と丁度良かったんやけどそれでもちらちら嬉しそうな顔が見え隠れするもんやから、俺は「空が綺麗やわ」とか至極適当な台詞を吐いて横を向いた。
残念ながらそれを直視すんにはレベルが足りてへんねん。
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もちえもん(プロフ) - 雛菊さん» はい！どの作品も言い回しや話の切り方、設定など参考になりますし大好きなので楽しみにしております〜(*´▽｀*) (2017年5月21日 9時) (
レス) id: 801b233da8 (このIDを非表示/違反報告)
雛菊(プロフ) - もちえもんさん» もちえもんさん！いつも本当にありがとうございます！上手く回収できていたら嬉しいです（笑）最近設定が重すぎたのでかる〜いものを書こうと思います〜 (2017年5月21日 9時) (レス) id: c858a49007 (このIDを非表示/違反報告)
もちえもん(プロフ) - 2度目のコメントですみません、本当に！素晴らしいお話をありがとうございました！！展開が読めず、更新される度にどうなるのかとワクワクしたものです。｢太陽を掴んだ｣という言葉が最初から読んできた身としてはたまらなかった…。ゾム楽しみですぅ…m(_ _)m (2017年5月21日 0時) (レス) id: 801b233da8 (このIDを非表示/違反報告)
雛菊(プロフ) - もちえもんさん» あああどうもありがとうございますご贔屓にして頂いて……！言葉選びは好きで試行錯誤をしていることなので、褒めて頂けて嬉しいです（泣）創作は切磋琢磨が1番だと思うので拙いながらも参考になるのであればどうぞご遠慮なく！こちらこそよろしくお願いします。 (2017年5月15日 1時) (レス) id: c858a49007 (このIDを非表示/違反報告)
もちえもん(プロフ) - お世話シリーズから何度も繰り返し読ませていただいていますが素晴らしいです、本当に。どの話もど好みで今書かれている話も本当に好きです。言葉の選び方が本当に大好きです。参考にしたいですが私の文章力では程遠い…！これからも愛読させていただきますm(_ _)m (2017年5月15日 1時) (レス) id: 801b233da8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛菊
| 作成日時：2017年5月4日 9時
