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高校二年生、四月六日の始業式。
お前は何組になった、とか、あの担任にあたっちゃったよ、という個人的な雑感が廊下を飛び交う中、ひとつだけ皆が皆口を揃えて言う台詞があった。
��A組は当たりだ��
男女を問わず口にするその言葉は、感想というよりも噂。大声で話されることはないが「ヤバい」、「すごい」という強い意思と共に人に揉まれて学年中に漂っていた。かく言う私もそんな噂をしていたうちの一人で尚且つ、そのA組であると自慢できた数少ない幸せ者のうちの一人でもあった。
女友達にドンマイとニヤニヤした顔で言って手を振り、ファンに刺し殺されろという僻みの言葉を背に受けて教室のドアを開いた私は、部屋の中央にたむろする人達の一人をみてごくりと息を飲む。
端正な顔立ちに、凛とした佇まい、小柄な体格に似合わぬ堂々とした態度。
全校生徒の憧れの的、圧倒的なその弁舌から一年生にして生徒会長の座を勝ち取ったグルッペンという男が友人らと談笑していたのだ。
「……あの人って上履きとかはくんだ」
あっやば！
ぽろっと失礼なことを漏らしてしまった口を慌てて塞ぎ、キョロキョロとあたりを確認する。
「なんやねんそれ。そらはくやろ学生なんやから」
けたけたと聞こえた笑い声。声がした隣を見ると、椅子に座って参考書を開いた少年が手を止めて必死に笑いを堪えていた。この人知ってる、確かグルさんと同じ生徒会の……副会長トントンだ。
「あっいや！いつも壇上で雄弁に喋るもんだから！すっかりフォーマルなローファーはいてるイメージになっちゃって！」
「あかん！今のめっちゃおもろかったわ」
笑いすぎて涙が出てきたらしく彼は目尻を拭う。
「……言いふらしたりしないでね」
「え、グルさんに言うのもあかんの」
「なにそれすっごいやだ！面識ないのに第一印象めちゃくちゃアホじゃん！」
「ええやん！真城も話しやすくなるやろ！」
「トントンみたいな気の知れた仲の人は良くても────！って、あれ？なんで私の名前、」
「あんたも俺の名前知っとるやん」
「トントンは有名でしょ」
きょとんとする私に、彼はなんでもない顔で手元の小さな紙をひらひらとさせた。
「俺の隣の席、真城A」
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もちえもん(プロフ) - 雛菊さん» はい！どの作品も言い回しや話の切り方、設定など参考になりますし大好きなので楽しみにしております〜(*´▽｀*) (2017年5月21日 9時) (
レス) id: 801b233da8 (このIDを非表示/違反報告)
雛菊(プロフ) - もちえもんさん» もちえもんさん！いつも本当にありがとうございます！上手く回収できていたら嬉しいです（笑）最近設定が重すぎたのでかる〜いものを書こうと思います〜 (2017年5月21日 9時) (レス) id: c858a49007 (このIDを非表示/違反報告)
もちえもん(プロフ) - 2度目のコメントですみません、本当に！素晴らしいお話をありがとうございました！！展開が読めず、更新される度にどうなるのかとワクワクしたものです。｢太陽を掴んだ｣という言葉が最初から読んできた身としてはたまらなかった…。ゾム楽しみですぅ…m(_ _)m (2017年5月21日 0時) (レス) id: 801b233da8 (このIDを非表示/違反報告)
雛菊(プロフ) - もちえもんさん» あああどうもありがとうございますご贔屓にして頂いて……！言葉選びは好きで試行錯誤をしていることなので、褒めて頂けて嬉しいです（泣）創作は切磋琢磨が1番だと思うので拙いながらも参考になるのであればどうぞご遠慮なく！こちらこそよろしくお願いします。 (2017年5月15日 1時) (レス) id: c858a49007 (このIDを非表示/違反報告)
もちえもん(プロフ) - お世話シリーズから何度も繰り返し読ませていただいていますが素晴らしいです、本当に。どの話もど好みで今書かれている話も本当に好きです。言葉の選び方が本当に大好きです。参考にしたいですが私の文章力では程遠い…！これからも愛読させていただきますm(_ _)m (2017年5月15日 1時) (レス) id: 801b233da8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛菊
| 作成日時：2017年5月4日 9時
