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「あんまり沖まで行くなよ」
「総統は来ないんですか？せっかく気持ちいいのに」
「特段好きでもないて言うたやろ」
「へえ」
「興味なさそうだな」
「あ、バレました？」
靴を脱いで砂に足跡をつけて遊んでいる私は総統の方なんてまるで見ていない。流石に社長に対して失礼かな？なんて気持ちも出てきたのでわくわくを押し込め、社交辞令で「海のなにが嫌いなんですか」と問うてみた。
「足にまとわりついてくるわかめ」
「…………」
「……なんだその顔」
「いや、突飛だなっていうのとそこが総統らしいなっていう顔です」
海大好きっ子の私ですらその理由に一瞬だけ海から興味を削がれてしまった。なんだわかめが嫌で海が嫌いって。
「てことだから気が済んだら声かけろ」
それだけ言うと総統は浜辺にある岩に腰掛けた。
「何してるんですかその間」
「見てる」
なにを、と言いかけてやめた。
「お前を」
「言わなくていいです聞いてません」
「聞こうとしたやんけ」
「してません」
総統から顔をふいっと背けてざばざばと進む。そう言われると思ったから聞かなかったのに。
幸いにも私はスカートなので、靴を脱ぎさえすればそれなりに深いところまで進めた。水深は膝より少し上ぐらい。ストッキング履いてるけど後で塩を払えば大丈夫だろうと思う。……でも貝殻に穴があく可能性はあるな。脱ごうにも総統が見ていると脱ぎにくいし。
そこまで考えて後ろを振り返った。総統は本当に見ているのかなと思ったからだ。
総統は、見ていた。
傾きかけた夕陽に照らされて、幸せそうに私のことを見ていた。その眼差しは私なんかが受けていいのかと思ってしまうぐらい真っ直ぐで優しくて、淡く輝いているのが美しくて、私は息を飲んだ。
どくんと胸が高鳴るのを感じてかぶりを振る。一体これで今日何回目だろうか。
誤魔化すために水の冷たさに浸ろうと足を一歩踏み出したのだが、
何かが足裏に当たった。
「うわっ！」
粘着質なそれはぬるりと足の裏を滑り抜けて、右足がお留守になる。残る左足側に体重が寄るが今更取り返しもつかず、私の体は後ろに倒れていく。でも間一髪、というところで背中を抑えられる。
「沖に行くなって言ったろ」
もしかしなくても彼だった。
これで何回目、だろうか。
「……わかめが嫌いな理由がわかりました」
「だろ？」
「……ありがとうございます。濡らしちゃってごめんなさい」
「礼は自宅送迎でいいぞ！」
「家バレするので駄目です」
「チッ」
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H2O(プロフ) - スパダリ総統たまらんです…思わずコメントしました失礼しました|ω･) (2018年5月11日 21時) (
レス) id: b0c2c544a7 (このIDを非表示/違反報告)
本田大和(プロフ) - 【鶴が恩着せがましい】の時から大ファンです(＊ﾟ∀ﾟ)ﾉｼ 雛菊様の描く大人っぽい総統も、悪戯っ子な総統も大好きです。更新楽しみにしています(*- -)(*_ _)ペコリ (2017年9月12日 8時) (レス) id: 877adbc8dc (このIDを非表示/違反報告)
雛菊(プロフ) - 恋桜さん» れのんちゃん度々ありがとう！毎回土下座して頭擦りきれないでね……！ (2017年9月10日 22時) (レス) id: 8cd2470719 (このIDを非表示/違反報告)
恋桜(プロフ) - 雛菊ちゃんの書くwrwrの皆さんが本当に好きです…！！！！！！(スライディング土下座) (2017年9月10日 21時) (レス) id: 848286cce8 (このIDを非表示/違反報告)
雛菊(プロフ) - ピポさん» いつもコメントりがとうございます。頑張ります……！ (2017年9月10日 19時) (レス) id: 8cd2470719 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛菊
| 作成日時：2017年9月10日 18時
