【d】ぎすmemoGS【短編番外】

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「ちょっとずるいずるい！なしなし！」
「勝負になしも待ったもないで！俺の勝ちや！」
「顔赤くする代償を払ってまでやる戦法じゃないでしょ！なし！」
「お、お前だって赤いやろが！」
「あんなの誰だって照れるよもう！」


恥ずかしくって手を振りほどいて顔を見てみればトントンも少し頬を染めている。ベルカ式国防術さながらの捨て身(精神的)をするほどかね書記長！



「なによ。どっちも赤いんだから結局引き分けでしょう！」
「あーもーそういうことでええわ。」
「私もう帰るけど、その赤い顔ちゃんと元に戻してから議会来るんだよ。」
「言われんでもそうするわ！」

邪魔しかしに来てないこんな客のこともドア先まで送りに来てくれる大天使トントン。
ほんとにさっきの鋭さはどこへ行ったのやら。
恥ずかしそうにはにかむ姿からは先ほどの面影は微塵も感じられない。
トントン…恐ろしい男……！




パタン、とドアを閉めて廊下に出た。




1人になったら何かいきなり恥ずかしくなってきた……！
演技とはいえ、一男性から好きと言われたことなんて生まれて初めてだよ。トントンのやつ私の初めてを奪いやがって…！でも童貞と言われるあの人のことだから顔が赤くなってたのを鑑みても彼も初めて言ったのかな。

トントンも初めてだったならまあいっか、なんて思っちゃう。

私の方こそそんなことを考えながら顔が赤くなってるんだけど。

そうだ！いっそのことトントンに惚れてしまえばーーーー


ボンッ！と顔が破裂するんじゃないかと思うぐらい赤くなった。


いやダメダメ恥ずかしい恥ずかしい！他の誰に惚れるより恥ずかしい！


かぶりを振ってその気持ちを振り払う。

でも惚れるのも時間の問題かもしれない、なんて心の片隅で思った。

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