【d】ぎすmemoGS【短編番外】

↑ ページ47

「ここ、最後の部屋かな……？」
「みたいだな。」

しばらく進むと何もない一本道に出る。どうやら廊下という設定っぽい。前方に出口、と書かれた文字が見えるが、どうしてここだけこんなに静かで何もないんだろう。
総統を見ると彼も首を傾げた。珍しい。


───ザザッ

「ひっ！」

ビデオの時にも聞こえたこの音。もうすっかりトラウマだ。

───よくここまでたどり着くことが出来たね。勇敢な君たちのことを担任として誇りに思うよ。


最初耳を塞いでいて全く理解していなかったけどあのビデオに映っていた若い男の人は担任の先生だったのか。


───嬉しい限りだよ。だから……君たちのような優秀な生徒には、卒業して欲しくないなあ……


ドダダダダダダダッッッ！！！！！！！！


「うおっ」
「えっ！？なに！？」
「走れA！後ろから来とる！！」
「うええええ！！！！」

ぼーっとしていたら肩に回されていた手が離されて背中を押された。
総統に先に行けと促されて出口に向かって走り出した。
足音はすごい速さで近づいてくる。
こんなに全速力で走ったのは何年ぶりだろう。

まずい……！！追いつかれる！！！！




そう感じた瞬間、視界が開けた。




「はぁっ……お、終わった？」
「ああ。…………お前っ、ビビりすぎやろ最後！」
「な、何笑ってるの！グルちゃんだって最後ビビってたじゃん！」
「ああ？俺はちょっと声あげただけだろ！お前なんて終始泣いてたじゃねえか！」
「な、泣いてないってば！」
「何だよやんのか？おん？」
「何よ？」

そうしてしばらく睨み合う。

どっちが最初だったかわからない。


「───ふふっ」
「───ははっ」

何かおかしくなって2人して吹き出した。
カップルらしいことも、案外悪くないかもしれない。

ウラバナシ→←↑

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す