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「っつ」
「うわっなにそれ！」
「そんなに慌てることじゃない。ちょっと切っただけだ。」
「いや結構ざっくりいってるよ！」
デザートの林檎を切っていたはずの総統に目を向けると親指の腹から血が滴っていた。結構な出血量である。
「やっぱしばらくやらんと鈍るもんだな、料理は。まあほっとけば治るだろ。」
「いやいやいや！私絆創膏持ってるから！」
あろうことか手を振って血を払うだけで作業を再開しようとする眼前の男。
「なんだよ。いくら鈍ってても親指がつかないように切ることぐらいはできるぞ。」
「そっちの問題じゃないの！」
「めんどくさい。」
「いいから！手出して！」
しぶしぶと左手を差し出してきたので染みたらごめんね、と前置きをしてから親指を口に含んだ。
「な"っ！？」
「痛いかもしれないけどちょっと我慢して、今絆創膏だすから。」
驚いた総統が口の中で親指をぴくっと動かしたので逃げないように口をきゅっとしめる。
あるかな絆創膏…もしもの時のために入れといたはず……あった！
「ポケットの奥底に入れてたからだすの手間取っちゃったごめん！痛かっーーー！？」
総統の指を解放してあげて絆創膏を取り出すと総統がいきなり私の肩を掴んでぐいっと押してきた。
俯いていて表情は伺えない。
「はぁぁ……」
総統はその姿勢のまま自分を落ち着けるかのように深呼吸を何回か繰り返した。
「……総統？」
「…………A、一応言っておくが出血した傷口を口に含むのは良い対処法ではない。」
「えっ！そうなの。」
「だからやるなよ。他の奴、特に男。」
「男？なんでまた、血友病でもうつるわけじゃあるまいし。」
「わかった！なんでもいいからとにかくやったらあかんから！」
「は、はあ……」
口調が強くなっても俯いたままなので真意がよめないけど、私より博識な総統がここまで言うんだからきっとよくないんだろう。そういえばエイズとかって血からうつったりもするんだっけ。
「……ちょっと俺洗面所に手、洗いに行ってくるから。絆創膏助かる。ありがとう。」
「あ、うん、林檎切っとくね。」
「頼む。」
総統は面を上げて踵を返したが髪の毛でまたも顔は見えずじまい。
でも廊下に出る扉を閉める直前、髪の間から覗いた耳がほんのり赤かった。
「………………傷口から私の風邪がうつった？……いや風邪ひいてないし。あり得ない。」
私はよくわからない総統の行動に対してそんなひとりごとを言って首をかしげるしかなかった。
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雛菊(プロフ) - 美桜さん» 通知に気づかず返信が遅れてしまい大変申し訳ありません！2ヶ月以上も前に……（汗）読んで頂きありがとうございます！計算高いトントンはめちゃくちゃ気に入ってるので嬉しいです！ (2017年5月15日 1時) (
レス) id: c858a49007 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - ヤバいヤバいグルさんも超格好良すぎだけど、トンさんの計算高い感じも格好良すぎぃ！ (2017年3月4日 8時) (レス) id: 7a0b0fb690 (このIDを非表示/違反報告)
雛菊(プロフ) - 酒呑童子さん» あああどうもありがとうございますうう！！ (2016年11月28日 13時) (レス) id: 6d4fabdf41 (このIDを非表示/違反報告)
酒呑童子 - お化け屋敷のお話がすごく好きすぎて何回もハイルグルッペンしそうになりました...！これからも頑張ってください！ (2016年11月28日 0時) (レス) id: 31dd048566 (このIDを非表示/違反報告)
雛菊(プロフ) - テル＠コクさん» おおおここにまた我々の忠実な信徒がひとり！ありがたいお言葉です！！がんばります〜〜 (2016年11月27日 9時) (レス) id: 6d4fabdf41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛菊
| 作成日時：2016年8月26日 23時
