セブチの敏腕プロデューサー

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俺の腕で声をあげて泣いたA。

それは、俺たちが初めて音楽番組で１位を取ったとき以来の光景で。

あの時は１３人が大慌てで慰めたけど、俺たちと同じ気持ちなんだって思うと嬉しくて。

普段は滅多に泣かないAに、もっと頼ってと思ったくらいなのに。

でも、

今日の涙は、苦しくて、つらいだけだ。


SC『落ち着いた？』
『…ん、ありがと』

掛け時計を見れば、時刻は午後９時。
ざっと１時間は泣き続けていたA。
そっと腕を緩めて離れれば、俺のTシャツの首元は涙でびしょびしょだった。

『ごめん、着替え…』
SC『いいよ。どうせ練習着だし…むしろ汗臭くてごめんな。練習終わりで、シャワー浴びてない』
『全然。むしろスンチョルの匂い、落ち着いた』
SC『…はぁ』

(この女は、人の気も知らないで)

『疲れてるのにごめんね』
SC『そういう”ごめん”はいらないから』
『…』
SC『もっと、甘えろ。苦しいときは、もっと頼れ』
『…ありがと』

無意識なのか、未だ俺のTシャツの裾を掴んで離さないA。
フルフルと震えるまつ毛は頼りなくて、弱々しくて。
離したばかりの腕を、そっと背中に回す。

SC『警察に届け出た？』
『え…なんで？』
SC『だって殺人未遂じゃん。打ち所が悪かったら、もっと酷いことになってたかもしれないだろ？』
『はぁ…考えてもみなかった』
SC『パボ。マネヒョンは何て言ってるの？一緒にいたんでしょ？』
『…気になることがあるから調べてみるって、事務所に帰っちゃって』
SC『それっきり？』
『うん、それっきり』

この１週間、マネヒョンの口からAの名前はでなかった。
いつもより少し疲れた表情だったけど、その裏で、何を探っていたのだろうか。

マネヒョンの行動を思い出しながら辿る。
ふと、横のAが小さく声をあげた。

『いった…』
SC『痛む？』
『ちょっとズキンとしただけ。大丈夫だよ』

頑丈に巻かれた白いギプスを、そっと左手で撫でるA。

(仕事、しばらくはできないよね…)

ジュンの言葉がループする。
小さな左手を包み込むように手を重ねれば、すっぽり覆われるそれ。

少し、震えていた。

『私、明日会社いくね』
SC『…無理すんな』
『無理してないよ。むしろ、休みすぎたくらいだし』
SC『怖くないのか？』
『だって、スンチョルが居てくれるんでしょ』
SC『…』

『カトクね、もう100件以上きてるの。そろそろ顔見せなきゃ、怒られちゃうよ』

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