143話 ページ44
「あと1ヶ月か〜…長いようであっという間」
カメラバッテリーの充電を済ませたところで、ひと息。
先に風呂に入ったのは正解だった。もう瞼がくっついてしまいそうなほど眠い。
「なんだかんだ楽しかったな〜っと、メールしないと」
このまま思わずベットインしそうになる。が、ふんばってドレッサーの前に配置したパソコンへと向き合った。
手を怪我してからというもの、毎晩送る会社への報告メールは卓の役目。
しかし、今晩の報告は私の仕事だ。
なぜなら手も動くし、可愛い後輩は夜遊びに行ってしまったから。
「えーっと…福岡公演初日でした。会場入りから、リハーサル、本番、漏れなく撮影できました。何より…右手のギプスが外れたので、今後は本腰入れてロケができそうです」
もう骨折だけはゴメンだ。痛いし、何より襲われる恐怖ときたら。
「…23時22分か。寝よう」
かちゃ
「…卓?帰ったの?」
扉の空く音がした。こっそり入ってきたかんじだけど、寝てると思ったのか?
何を隠そう、私たちは同室だ。でも配慮するなんて彼らしくない。
『…A?』
「!」
決して広くない1ルーム。静かに入ってきた人間は。
『俺、ベッキョン』
『分かるけど、なぜ』
白いマスクを外して正体を明かしたベク。
見たら分かるわ。わかるけど。
『ああ、卓?』
『…そう』
「あのお節介」
『?』
『なんでもないよ…座れば?』
そう言って隣のベットを指差す。
直立するベッキョンの身体が、ぴくりと動いた。
『何か飲む?』
『いや…ヌナなんで何も言わないの?』
『え?』
『いきなり、俺が入ってきてなんとも思わないの?』
『…思うよ?でも卓でしょ?』
『…?』
『あの子なんか考えてるかんじだったし、何かしそうな雰囲気だった。まあアイドルが夜中に押し掛けてくるとは思ってもみなかったけど』
『そっか』
『座れば?』
『うん』
『コートはハンガーにかけてね』
いつもは無駄なくらい明るいのに、なぜか大人しいベッキョンを眺める。
言われた通りに黒いトレンチコートをハンガーにかける姿はサマになっていて。やはりアイドルだった。
『ヌナもう寝るの?』
『…と、思ってたけどダメ?』
『だめ。むり。俺とお話しよ?』
眠いんだけどな…
でもせっかく来たからには理由があるわけで。それはきっと私に関することなわけで。
できることなら避けたいところだけれど、ここには出口はひとつしかない。
(3分で終わる?)
(ヌナ、カップ麺じゃないんだから…)
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ANA(プロフ) - 雅美さん» 返信遅くなってしまい申し訳ございません。ありがとうございます!ハッピーエンド目指して頑張ります!ちょっと長くなりそうで怖いですが…笑 (2016年3月19日 19時) (レス) id: 02ef87b870 (このIDを非表示/違反報告)
雅美(プロフ) - スゴく面白くていつも読ませて頂いてます。おおー遂に想いが通じあったのでしょうか!(^∇^) ベクの想いの強さに羨ましいと思っておりました!サセンや「テング」が気になりますが、幸せになって欲しいです~(^^)v続き、楽しみにしてます! (2016年3月5日 20時) (レス) id: 93047d4dc5 (このIDを非表示/違反報告)
ANA(プロフ) - はなさん» ありがとうございます!楽しんでもらえたみたいで嬉しいです!恋愛要素どんどん足していきますので、最後までお付き合いよろしくお願いします(。・∀・)ノ (2015年12月29日 23時) (レス) id: 61b2481670 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - いっきに読んじゃいました!!!!男前主人公とベクが大好きです!(^○^)!所々、いや、かなり笑える場面も多いのにベクのストレートな一途な気持ちがまたキュンキュンします!!!!続きが気になります(^○^) (2015年12月20日 4時) (レス) id: d0f5a1909d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ANA | 作成日時:2015年12月14日 15時