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124話 ページ25

意味深な言葉を残して、口を閉ざしてしまった弟。

(ヌナのことって…まさかジョンイナ…)

思考が深くなるたびに、視線が下がっていく。
とうとう足元を見つめるほど俯いてしまった俺に、低い声がかかった。

『ベク』
『?』
『そんな通夜みたいな顔してんじゃねえよ。仕事中だぞ』
『え、チャニョラ?』

斜め後ろに座るチャニョルの強い言葉に、重たい顔を瞬時にあげた。
すると、難しい顔をしたジュンミョニヒョンと目が合う。

『いま、ベク、カメラ、抜かれてたよ。ひどい顔だった』
『(やべ)…すみません』

歌を披露した新人グループが満面の笑みで壇上を降りて行く。
同時にわきあがる拍手に、つられるように手を叩いた。

…俺は今どんな顔をしているのだろう。
ジョンインとヌナのことで頭がいっぱいで、カメラも気にせず悩むなんて、らしくない。

”元気いっぱいの、いつものベクだよ”と、ペンに示すかのように
はりつけたような笑みを浮かべ会場を見渡すが、心はここにあらず、だった。

(Aヌナ…負けない…つまり、そういうことだよな)

『!』
『…』

ちらっと、なにげなしに見た先で、金髪の女性と目が合った。
…テングだ。

『(ケンチャナ?)』
『…』

しっかりもので、歌がうまくて、それでいてキュートで。
俺のドストライクだったテヨン。

頑張ってアタックして…まさに今のようにアタックして、交際が叶ったときは夢のようだった。
でも、長くは続かなくて。

…過激な報道と、すれ違いから生じた”別れ”。
なにひとつ幸せにできなかったから、俺のこと嫌いになったっていいのに。

それでも優しいテヨンは、何かと自分を気にかけてくれている。

『(大丈夫だよ)』
『(…そう)』

テーブルをひとつ超えた先にいる少女時代の島は、さほど遠くない。
ペンにいらぬ疑いをされる前にと、お互いが自然とステージに視線を戻した。

テング…Aヌナ…ジョンイン…
ぐるぐるする思考回路は、これでもかというほど俺を惑わせた。

『…大丈夫だよな』

キラキラ光るステージに、これから立つというのに。
もやもやが晴れる事はなくて、心が苦しかった。


(何か、ベッキョンようすおかしいね…)
(ん?先輩?何か言いました?)

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設定タグ:EXO , ベッキョン , 日本人   
作品ジャンル:恋愛
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ANA(プロフ) - 雅美さん» 返信遅くなってしまい申し訳ございません。ありがとうございます!ハッピーエンド目指して頑張ります!ちょっと長くなりそうで怖いですが…笑 (2016年3月19日 19時) (レス) id: 02ef87b870 (このIDを非表示/違反報告)
雅美(プロフ) - スゴく面白くていつも読ませて頂いてます。おおー遂に想いが通じあったのでしょうか!(^∇^) ベクの想いの強さに羨ましいと思っておりました!サセンや「テング」が気になりますが、幸せになって欲しいです~(^^)v続き、楽しみにしてます! (2016年3月5日 20時) (レス) id: 93047d4dc5 (このIDを非表示/違反報告)
ANA(プロフ) - はなさん» ありがとうございます!楽しんでもらえたみたいで嬉しいです!恋愛要素どんどん足していきますので、最後までお付き合いよろしくお願いします(。・∀・)ノ (2015年12月29日 23時) (レス) id: 61b2481670 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - いっきに読んじゃいました!!!!男前主人公とベクが大好きです!(^○^)!所々、いや、かなり笑える場面も多いのにベクのストレートな一途な気持ちがまたキュンキュンします!!!!続きが気になります(^○^) (2015年12月20日 4時) (レス) id: d0f5a1909d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ANA | 作成日時:2015年12月14日 15時

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