ハレノチアメ３-BK-

101話 ページ1

『ヌナ、101匹わんちゃんって観たことある？』
『何いきなり』
『観たことある？』
『たくさん犬が出てくるアニメでしょ？』
『そうだけど…ある日ね、子犬がね、クルエラっていう人間に攫われてね、それを101匹が総出で助けにいくっていうストーリーなんだけどね』
『うんうん』
『結末しってるのに、たまに観たくなるの。だからDVD買っちゃったんだ、ディズニーで唯一』
『まじか』

美しい青空が沈んだ夕暮れ。
ほんとうにたまたま、街録を終えた帰宅途中、漢江に沿った公道で末っ子セフンに出会った。
あれ？音楽祭のリハーサルは？と言葉にしたら、にっこり笑ってごまかされる…こいつさぼったな？

『俺は断然ディズニーならトイストーリーだなー』
『卓いつもソレ言うよね。私は最近だけどラプンツェル』
『ラプンツェル！ヌナっぽいかも』
『やんちゃなところとかね』
『…ふん』

年下男子にどう思われようが知ったこっちゃ無いわい。
３人肩を並べて歩けば、遠くで子供たちがはしゃぐ声が聞こえた。そろそろ時間か。

『そういえばセフナ、もうメシくった？』
『まだでとぅ…おごってくれるの？ヒョン』
『仕方ないなー！カップ麺でいい？』
『うん！ライスも食べたい』
『いいよ』
『やったー！』

にっこにこ笑ってスキップしそうなセフン。
わかってると思うけど、カップ麺だよ？

『スーパー寄ってからウチ行こう』
『僕もいく〜』
『あ、じゃあここで解散ね』
『え？ヌナも行きましょうよ』
『ごめん、今日は予約されてて』
『えーっ誰に！！』
『卓よろしくね』
『…はーい』

ぶーぶー言うセフナを押さえ込み、去って行く先輩の背中を見つめる。
その先に誰がいるかは、俺が中継ぎ人だから知ってる。
そして、その後に起こるであろうことも。

『ヒョン！僕ヌナと久々にご飯食べたいからリハを仮病で休んだのに！』
『…おまえアホだな〜今からでもいけよ』
『もう終わっちゃってるよ！』
『俺がうんまいラーメンつくってやるから、な？』
『むー』

(日本から持ってきたんだけど、食べてみて)
(…なにこれ)
(イカの塩辛。白いご飯と最強の相性だろ！)
(怖くて食べられないでとぅ…)

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