PAGE.77 ページ27
.
私の手を取り
「ムードの欠片もねぇのは
俺のせいじゃねえからな」
と、ぶっきらぼうに言った雅さんの手が離れる。
「雅さん…これ…」
予想もしなかった
手首から光るブレスレットに
思わず声が震えてしまう。
「雅さんが、選んでくれたの？」
「女物なんて買ったことねぇから
結局店員さんに相談したけどな…て
何笑ってんだよ」
「だって、雅さんが…ふふっ」
慣れないお店で
アクセサリーを真剣に選ぶ雅さんを想像すると
可笑しくて、可愛くて、愛しくて
涙はさらに溢れて止まらない。
大洪水の私の顔面に
頑なに仏頂面だった雅さんが
とうとう吹き出した。
「ちょっと！笑わないでよ！！」
「お前も笑っただろ」
「だって雅さんがっ────」
�� 愛おしくて ��
その言葉は雅さんの唇に遮られてしまった。
なんで雅さんはいつも話の途中でキスするの！！
なんて怒りは何処へやら。
雅さんの唇が離れそうになると
胸元を掴んで引き寄せる。
そんな私に雅さんは
少し驚いた様子を見せたけど
私の肩と腰に手を回して
ギュッと抱きしめてくれた。
そしてゆっくり唇を離すと
雅さんは私の耳に顔を寄せる。
その仕草がまた可愛くて堪らない。
「雅さん大きい子どもみたい」
「うるせぇよ。鼻水垂らしながら
泣いてた奴に言われたくねえ」
「でも可愛いって思ったから
チューしたんでしょ？」
そう言い返せば、雅さんは「自分で言うな」と
耳を赤くしても呆れたような顔を見せた。
「ありがとう雅さん。大事にするね」
ブレスレットに触れてお礼を言えば
雅さんも優しく笑ってくれた。
それから家に着くまで早かった。
いつもなら「おやすみなさい」って
雅さんに見送られながら家に入るのに
今日はなかなか入れなくて
「雅さんが先に帰って」と言ったにも関わらず
「A」
「…なに？」
「離してくれねぇと帰れないんだが…」
「あ、ごめん！」
雅さんからパッと手を離せば
寂しさがさらに込み上げてくる。
今日が最後じゃないのに。
明日も明後日も会えるのに
なんで今日はこんなにも名残惜しいのか…。
「明後日、行きたいとこあるか？」
「え、と…特にないけど
…二人でゆったり過ごしたい…デス」
雅さんは「なんで敬語なんだよ」と笑うと
私の頭にポンッと大きな手を乗せた。
「わかった。考えとくから早く家入れ。
風邪引いたら中止になるぞ」
「うん…！おやすみなさい！」
「おやすみ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 402人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あんず。(プロフ) - 雅さん» 更新停止期間が長かったにも関わらず、最後まで読んでいただき本当にありがとうございました！皆無に等しい私の語彙力では雅さんの魅力を全て引き出すことは出来ませんでしたが、少しでも雅さんが好きな方に喜んでいただけたなら嬉しいです。 (2022年9月24日 23時) (
レス) id: cea1d0e30c (このIDを非表示/違反報告)
雅(プロフ) - 完結お疲れ様でした！ずーっと読ませていただいてました！雅さんLOVEです♥なかなか雅さんのお話ってなくて、すごく嬉しかったです！ありがとうございました！ (2022年9月24日 22時) (レス) @page50 id: 7007161c36 (このIDを非表示/違反報告)
ことみ(プロフ) - めっちゃ気になる〜 (2022年6月25日 23時) (レス) @page41 id: c4b0537998 (このIDを非表示/違反報告)
な(プロフ) - 久しぶりの更新すごく嬉しかったです！！ありがとうございます！！！ (2021年8月15日 22時) (レス) id: 9f6fa53375 (このIDを非表示/違反報告)
雅(プロフ) - 初めまして。ダイヤのA雅さん好きです！ヒロインの無意識の変態おもしろいです！(笑)雅さんの話滅多にみかけないから、嬉しいです！ (2019年2月21日 15時) (レス) id: ff8c7fad23 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あんず
| 作成日時：2016年9月3日 17時
