あんたなんか好きにならない。【Ren】

今さらすぎる。 ページ45

久しぶりに入った廉の部屋は、少し散らかっている以外は以前と全く変わっていなかった。

廉「最近は、ただの同僚が家でご飯まで作ってくれるん？笑」

点滴で少し元気になったからって、早速そんな軽口をたたいてくる廉。

「せっかく人が心配してやってんのに…迷惑なら帰るよ」

そう言って、自分の荷物とスーパーの買い物袋を持って玄関に向かうと、

廉「嘘やん、ごめんて!!」

そう言いながら私の腕を掴んで引き留めた。

廉から、生姜焼きが食べたい!!とリクエストされた私は、玉ねぎをたっぷり入れた生姜焼きを作った。

豚肉と玉ねぎの組み合わせは、疲労回復に効果的で、廉の疲れた体にはもってこいのメニューだった。

廉「やっぱりAの作った生姜焼きは美味いなー」

勢いよく食べ始めた廉は、白飯を何杯もおかわりした。

「お腹いっぱいになった？」

廉「なった!!」

「じゃあ私はそろそろ帰るね」

廉「なぁ、少し話せえへん？」

「いいよ」

私はそう答えると、廉が座っているソファーの隣に腰掛けた。

廉「お前さ、岸さんの事好きなん？」

「好きだよ」

廉「そっか。
俺はお前がそばに居らんくなってから、仕事して紛らわそう思ってんけど無理やったわ」

「え？何が？」

廉「今さらやってわかっとるけど、俺はお前にそばに居って欲しいねん」

「廉は私の事、自分を好きにならない女だから彼女にしてたんだよね？

私さ、あの時、廉の事好きになっちゃってたんだよね。

だから私はもう廉の彼女にはなれない」

今さらもう戻れないんだよ。

頭ではそう思うのに、心の奥では嬉しいと思ってしまっている自分がさらに許せなかった。

最後までいい人。→←倒れる。

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