新ハンター巫女【第五人格】 (ページ21)

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十九ページ21

｢うちはお茶入れてくるから無咎はん先に食べとってね｣

美智子さん、まだ働くの･･･？！

｢私がお茶を入れるので、
美智子さんも食べてください･･･！｣

お膳を抱えた美智子さんが台所に戻ろうとするのを慌てて止めた

｢そんな気使わんでええよ
お茶入れるのなんてすぐやし｣

｢美智子さんこそ、
あんまり気を使わないでください
私、台所に用があるのでそのついでです｣

｢･･････せやったら、お願いしよかな｣

少し眉を下げた美智子さんからお膳を預かり、
台所へ向かう

様々な食器が置かれた食器棚には、
共用で使う器だけでなく、
それぞれが使っている専用の食器も置かれていた

数多くの食器の中から
先程聞いておいた赤色に蝶が描かれた湯のみと
白と黒の傘の描かれた湯のみを手に取る

綺麗に手入れされた湯のみは
長い時間を過ごしているとはとても思えなかった

湯のみの他に急須やらお鍋やらを持って
準備に取り掛かろうとすると、
そこには既に先客が居た

その先客とは、
納棺師のイソップさんだった

イソップさんは深皿を手に持っていた

その深皿はさっき洗ったものと同じ柄だった

きっと遅めのお昼ご飯だろう

｢こ、こんにちは｣

｢･････････こんにちは｣

荘園に来た夜のことを思い出し、
なんとなく気まずくなってしまう

声をかけると、イソップさんはほんの少しだけ
こちらを見て小さい声で返事をしてくれた

今更かもしれないけれど、
荘園に来た時のことを謝っておこう･･･

｢あの、この間はすみませんでした｣

｢････････････いえ｣

さらに声をかけると、
イソップさんはこちらを見ることなく答えた

･･･今更だもんね、仕方ない

気を取り直して、水を入れた鍋を火にかける

水が沸騰するまで手持ち無沙汰だし、
ちょっと羊羹を見ようかな

台所の近くにある冷暗所から羊羹を取り出す

揺らしてみると、
しっかり固まっていることが分かった

久しぶりに作ったから、
ちゃんと固まってて良かった･･･

一度羊羹を冷暗所に戻し、
顔をあげるとイソップさんは
もうすでにどこかに行ってしまっていた

そういえば、
いわゆるサバイバーと呼ばれている人達って
全然足音しないような気がする

後で聞いてみようかな

あらかじめ茶葉を入れた急須にお湯を注ぎながら、
ふと思った