十四 ページ16
｢おや、こんな所でどうしたんだい？｣
｢ジョゼフさん･･･！ こんにちは｣
窓から外を見つめていると、
ジョゼフさんに声を掛けられた
｢中庭に行こうとしたら、
偶然雨が降ってきたんです｣
｢そうだったのかい｣
会話が途切れ、気まずい沈黙が流れる
気まずさに耐えきれず、苦し紛れに質問をした
｢えっと、ジョゼフさんって、雨、好きですか？｣
｢いや、あまり好きではないよ
そういう君は？｣
｢私も、好きではないです｣
雨の日は、"彼女"を思い出すから
｢そうなんだね
この荘園のハンターは、
雨が嫌いなハンターが多いんだよ｣
｢そうなんですね｣
他の方も、何か雨に思い出があるのかな
その後、
互いの職業について話していると、
昼食の時間になっていた
ジョゼフさんと共に食堂に向かった
食堂に近づくと、出汁の良い匂いがしてきた
｢お出汁の良い匂いがする･･･｣
そう呟くと、ジョゼフさんが説明をしてくれた
｢確か、今日の昼食の当番は、
ミチコとシャビアンだっけ･･･
その2人なら、
"ウドン"でも作ってるんじゃない？｣
うどん･･･
前に会った時に范無咎さんが、
謝必安さんは凝り性だって言ってたけど･･･
まさか、麺から作ってるのかな･･･
などと考えているうちに食堂に着いた
｢ジョゼフはんに幸音はん、珍しい組み合わせやね｣
扉を開けると、美智子さんが出迎えてくれた
｢今日のお昼は、肉うどんやよ
二人は、どのくらい食べるん？｣
｢あ、自分でよそいますよ｣
ご飯を作ってもらって、
そこまでしてもらうのは申し訳ない
すると、美智子さんは眉を下げた
｢それくらいさせてほしいんよ｣
うっ･･･
美智子さんからのお願いは断りにくい･･･
｢えっと、じゃあ、少なめでお願いします｣
｢私は、普通くらいでお願いするよ｣
｢持ってくるから、ちょっと待っててな｣
答えると美智子さんは、台所に戻り、
謝必安さんとうどんをお椀に盛りつけていた
美智子さん、お母さんかお姉さんみたいだな
美智子さんを見ていると、
視線に気づいたらしく、笑いかけてくれた
少しすると、
美智子さんがお椀をおぼんに乗せ、
うどんを持ってきてくれた
｢はい、どうぞ｣
お椀によそわれたうどんは、
とても美味しそうだった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 24人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：その辺の草 | 作成日時：2020年5月9日 1時
