Episode36* ページ6
氷浦｢お前……！何してるんだ！
Aから離れろ！！｣
貴利名は野坂君の腕を荒々しく掴み、
すぐさま私から引き離す。
野坂｢……王子様のおでましって所かな。｣
野坂君から解放された私は、
貴利名に抱き止められる。
氷浦｢もう大丈夫。大丈夫だから。｣
優しくポンポンと背中を叩いてくれる
貴利名の手はとても温かった。
『き、貴利名…………怖かった。』
貴利名の温もりに安心し、
私は糸が切れた様に涙を流した。
氷浦｢どういうつもりだ、野坂。｣
先程の優しい声とは打って変わって、
怒りのこもった声。
表情も見たことないくらい怒りに満ちている。
野坂｢はあ…納得いかないな。
…Aが僕以外の人のものになるなんて。｣
野坂君は淡々とした声でそう呟いた。
相変わらず彼の瞳は冷たい。
一見無表情に見えるが、私には悲しそうに見えた。
氷浦｢Aは渡さない。｣
野坂｢まあ、ここで揉めていても仕様がないよね。
1つ提案しよう。
君が本当にAにふさわしい男なのか見極めたい。
だから…来週試合しよう。｣
氷浦｢受けて立ってやる！｣
野坂｢……楽しみにしてるよ。｣
じゃあね、A。とだけ残し、野坂くんは私の顔を見ずに、
その場を去っていった。
________2人が試合するなんて。
一体どうなってしまうんだろう。
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作者名：渡邊妃葵*わたなべひなた | 作成日時：2018年12月20日 22時
