6話 ページ7
ヴィルside
『…それにしても、ヘアメイク後のヴィルさん、いつもにまして美しいですね』
Aが突然、そんなことを言い出した。
本当に突然だったからアタシは少し驚いたけれど、平静を装って「当然じゃない」といい放った。
『ふふ、ですよね。ヴィルさんが美しいってことは、言うまでもないか…！』
Aはそう言いながら頬を緩める。
その笑顔は何故か嬉しそうだった。自分のことでもないのに。
今まで何回も“美しい„と言われてきたけれど、Aに言われる”美しい„は特別だった。
彼女はお世辞やその場しのぎの褒め言葉を言うような人間じゃなく、心から人を褒める人だ。
そんな彼女は、誰からも好かれやすい。
「アンタだって綺麗じゃない。よく似合ってるわ」
『ホントですか！？』
「アタシが嘘言うように見える？」
『あっ…。そうですねごめんなさい。
でも嬉しくて…』
なんて言いながら嬉しそうに頬をそめる彼女を見て、唐突に思った。
この笑顔が、アタシだけのものになればいいのに、と。
三年前とは違う、控えめな色気が漂うA。
美しいのに強くて優しくて、目が離せない。
…アタシをこんなに夢中にするなんて、まったく恐ろしい子だわ。
急に姿を現した独占欲をAに悟られないよう、アタシは笑った。
「とにかく、いい作品にできるようにお互い励みましょう」
『はいっ！！！頑張りましょうね！』
彼女はそう言って、アタシのもとから離れていく。
会話が終わる＿＿＿＿つまり、撮影がはじまるということ。
撮影がはじまったら、アンタはヒロインで、アタシは悪役で。
「＿＿＿＿A」
そう思ったら、Aを呼び止めずにはいられなかった。
不思議そうにこちらに振り向くA。
アタシは彼女に言った。
「＿＿今日のアンタ、本当に美しいわ」
それだけよ、と付け足して、ゆっくりとその場を去る。
すると、後ろから
『ありがとうございます！！！ヴィルさんにそう言ってもらえるなんて光栄ですっ！』
と明るい声がした。
その声だけで、心の全てが満たされるような気がした。
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シャーペンの芯(プロフ) - 殿堂入り本当にありがとうございます…!!! (2021年6月14日 6時) (
レス) id: 37f133a8ec (このIDを非表示/違反報告)
シャーペンの芯(プロフ) - 海月くらげさん» 素敵なコメントありがとうございます！ラプンツェルいいですよね！！(興奮)そして私の作品も好きだと言ってくれて本当に嬉しいです！ありがとうございます！ (2021年4月21日 15時) (レス) id: 37f133a8ec (このIDを非表示/違反報告)
シャーペンの芯(プロフ) - なず@ヴィル様の旦那ですさん» マジです！(笑)これからも頑張ってください！応援してます！ (2021年4月21日 15時) (レス) id: 37f133a8ec (このIDを非表示/違反報告)
海月くらげ(プロフ) - 完結おめです!シャーペンの芯さんの作品もラプンツェルも好きなので、読むのがとても楽しかったです!これからも…作品楽しく読ませていただきますね!! (2021年4月21日 1時) (レス) id: 27709bd435 (このIDを非表示/違反報告)
なず@ヴィル様の旦那です(プロフ) - シャーペンの芯さん» えまじですか！？わああ嬉しいです！？ (2021年4月18日 14時) (レス) id: c2e37a127a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シャーペンの芯 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/syapennosin/
作成日時：2021年2月12日 17時
