11話 ページ12
ヴィルside
「A、待ちなさい」
『っ…！』
逃げるように立ち去ろうとするAの腕を掴み、咄嗟にとめた。
「アタシは、アンタの演技が下手とか見苦しいとかなんて思ってない。そこは勘違いしないでちょうだい」
『じゃあ私は何が駄目で…』
「そこよ」
Aの言葉を遮って言うと、彼女は『どういうこと…？』と顔をあげる。
酷く疲れた、元気のない顔。
いつもの美しさがくすんでしまっている。
アタシはそんなAは見たくない。
「アンタは、全部全部抱え込みがちなのよ。
自分の演技のミスなら当然だけど、他人のミスまで自分でなんとかしようとする。アンタは悪くないのに、全部引き受けようとする。
そんなことしてたら、体がいくつあっても足りないわ」
『そ、そんなことな…』
「それに疲れが溜まってる。
顔色はメイクでどうにかできるとしても、そういうのは声や演技に全部出ちゃうのよ」
『…………。』
アタシの言葉に、うつむくA。
「アンタはもうちょっと…、アタシを頼ってくれないのかしら？」
そう問いかけた瞬間、彼女の中で何かが緩んだ。
『うっ…っ…。だ、だってぇぇ…』
Aは糸が切れたように、泣き出した。
『ヴィルさんとネージュさんの隣に並ぶんだもの…。私だって気ぃ張るよ…っ。
本当は練習のしすぎだってわかってたけどっ…、がっかり、させたくなくてっ…』
「ホント、泣き虫ねアンタは。
…ふふっ、昔っから変わんないわね」
『今笑わないでくださいよ〜……っ！』
「ほら、メイクが崩れてるわよ。直してあげるからこっちに来なさい」
『は〜い…』
アタシは持っていたメイクセットで、Aの顔を整える。
泣いていて少し口を尖らせたAも可愛かったのだけれど。
『あぁもう、ヴィルさんは私のこと、なんでもわかっちゃうんだな…』
チークを塗っているとき、Aにそう言われ、一瞬だけ手がとまった。
「…当然じゃない」
小さな頃から会っていたんだから。
何回も共演してきたんだから。
何度も…Aのことを見ていたから。
そのくらい、分かるわよ。
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シャーペンの芯(プロフ) - 殿堂入り本当にありがとうございます…!!! (2021年6月14日 6時) (
レス) id: 37f133a8ec (このIDを非表示/違反報告)
シャーペンの芯(プロフ) - 海月くらげさん» 素敵なコメントありがとうございます！ラプンツェルいいですよね！！(興奮)そして私の作品も好きだと言ってくれて本当に嬉しいです！ありがとうございます！ (2021年4月21日 15時) (レス) id: 37f133a8ec (このIDを非表示/違反報告)
シャーペンの芯(プロフ) - なず@ヴィル様の旦那ですさん» マジです！(笑)これからも頑張ってください！応援してます！ (2021年4月21日 15時) (レス) id: 37f133a8ec (このIDを非表示/違反報告)
海月くらげ(プロフ) - 完結おめです!シャーペンの芯さんの作品もラプンツェルも好きなので、読むのがとても楽しかったです!これからも…作品楽しく読ませていただきますね!! (2021年4月21日 1時) (レス) id: 27709bd435 (このIDを非表示/違反報告)
なず@ヴィル様の旦那です(プロフ) - シャーペンの芯さん» えまじですか！？わああ嬉しいです！？ (2021年4月18日 14時) (レス) id: c2e37a127a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シャーペンの芯 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/syapennosin/
作成日時：2021年2月12日 17時
