誰と恋しますか？ (ページ4)

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桜（佐野万次郎）ページ4

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冬も終わり春になったが日中は暖かいけど夜はまだ肌寒い。

そんな中、彼氏の万次郎が走らせるバイクに私も跨ぐ。顔に冷たい空気が触れて少し寒い。

万次郎がどこかに連れていってくれるみたい。

『ねーねー、どこ行くの？』

「いいからいいから」

『もう！そればっかり！』

「いい所だから、楽しみにしてろよ？
Aもびっくりするぜ」

さっきから連れていってくれる場所を聞いても誤魔化して教えてくれないんだよね。

けど、万次郎が言う「いい所」なんだから、きっといい所なんだろう。いい所じゃなかったら怒るよ。

バイクが走る音を聞きながら、万次郎の背中に強く抱きついた。

♢♢♢

「何飲む？」

『……ミルクティー』

「はいよ」

バイクで入ってきた駐車場は小さな公園の駐車場だった。バイクを止めて、寒くなった体を自販機の暖かいミルクティーで温める。少し体は暖かくなってきた気がする。

「行くか」

『え？まだ飲んでるよ？』

「飲みながらでいいよ」

私の片手にはミルクティー、もう片手には万次郎の手。万次郎の手が冷たいから私の温まった熱で暖める。

少し公園に入っていくと目の前には綺麗な光景が広まった。

『わあっ！綺麗！』

目の前に大きな桜の木。もう桜は満開になっていて圧倒される。風で少し花びらが落ちているけど落ちた花びらはまるで絨毯みたい。

「なっ、綺麗だろ」

『渋谷にこんな所あったんだね』

「ケンちんとドライブしてるときに見つけたんだ。絶対穴場だよ、あまり人いないし。
あの時は満開じゃなかったから、絶対満開の頃にAとまた来ようって思ってさ」

『嬉しい。ありがとう』

私は万次郎の手から離れて、近くにあったベンチにミルクティーを置き服のポケットに入れておいたスマホをポケットから取り出してカシャ、カシャと桜の木を撮った。エマや日向に送ろう。

『桜って、ずっと咲いててくれるといいのにね』

「そうだな」

『……こんなに綺麗なのに、散っちゃうのなんだか寂しい』

「……そうだな」

少し寂しく顔を歪ませると、それを見ていた万次郎はすぐに私を抱きしめて頭をポンポンと置く。

「……また来年も再来年も、これからもずっと咲く頃にここ来ような」

『……うん。約束だよ？』

「もちろん。約束」

万次郎の小指を、私の小指で絡め合う。

桜が散っちゃうのは寂しいけど万次郎とこれからも桜が咲く頃に絶対ここに来ようね。

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