30話 ページ30
･
「てめぇは今、いったい何を考えてやがる」
『……』
「まさか自分のせいで俺がやられたって思ってんのか」
『なっ……』
「図星かよ。
てめーのせいじゃねぇ。こんな怪我は油断してた俺が悪い。
まー、俺にとってこんなんかすり傷みたいなモンだよ」
『…………ごめんなさい。かすり傷でも痛かったですよね』
「だから謝るんじゃねぇ。大丈夫つったら大丈夫なんだよ。
…………よく頑張ったな、A」
『……三途さん……！』
三途さんに勢いよく抱きつくと、怒られると思っていたけど珍しく怒声を浴びない。アレおかしいな？
『怒らないんですか……？』
「今日ぐらいは……な」
『ふふ……嬉しいです』
強く抱きしめると三途さんも強く抱きしめ、とってもなんだか嬉しい。
『三途さん……』
「……なんだよ」
『好きです。誰よりも』
「知ってる」
『えっ、いつもと返ってくる言葉が違う！』
「気のせいだろ」
いつもは「殺す」「うるせぇ」など冷たい言葉が返ってくるのに。今日はツンデレじゃなくてデレデレなのかな。可愛い。録音すれば良かったかも。
〜〜〜♪
幸せな気持ちになっていると三途さんのスマホが鳴った。
「知らねー番号だ」
『え？』
詐欺の電話だったら調べあげてスクラップ、と呟きながら通話ボタンを押す。それを私は見つめる。
「誰だてめぇ、なんで俺の番号を知ってやがる！？」
知らない番号なのに最初の口調がひどい。普通の人なら怖がってしまう。
「なんだてめぇかよ！
Aもいるが……
ーーーーーは！？ふざけんじゃねぇぞ！
くんじゃねぇカス！！！
………………ボス命令かよ……チッ」
そう三途さんは言うと怖い顔をしたまま通話を無理やり切り床へとスマホを叩きつけた。すみません、スマホが壊れちゃうので安全にお願い致します。
『誰からでしたか？』
「クソ兄」
『兄？蘭さんからですか？』
私がそういうと三途さんの眉がぴくっと動く。当たりだ。
「今からお前に見舞い品もってくよーにマイキーから頼まれたらしい。
だからこれから性悪兄弟がくる」
『ここに！？』
「あぁ。
物貰ったら追い出すからお前は寝ろ」
『寝ろって……
そんなの……失礼ですよ……』
「言う事聞きやがれ。お前が起きてたらアイツらうるせーだろーよ。
あ、次マイキーに会った時に必ずお礼しろよ。
とりあえずお前は早く寝やがれ」
なんて横暴な。けどそんなところも好きなんだけどね
→
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 491人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆき(プロフ) - 更新楽しみにしています！！頑張ってください！ (2021年9月23日 16時) (
レス) id: 71bdc7cd9e (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - あ、クライマックス………いや、作品の波……？でしょうか。更新頑張ってください！ (2021年9月20日 18時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
叫びすぎて喉痛い - ふっ…控えめに言って神 (2021年9月18日 20時) (レス) id: bf3a83fab0 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - うわぁ！！！神作品！！！自覚してくれ三途くん！！！更新楽しみに待ってます！ (2021年9月16日 18時) (レス) id: f68d781c31 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：乱れ桜 | 作成日時：2021年9月14日 14時
