【d!】野狗子の幸福的人生理論 (ページ4)

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憂鬱な日？　ci sibe ページ4

『憂鬱、やなぁ』

そう言って、周りに転がっていた小石を蹴飛ばした。

今日は何をやってもうまくいかなかった。資料の作成では、プリンターの故障か何かで印刷はできないわ、先日の任務の報告書には、エミさんが注いでくれた紅茶をぶっかけた。それに大事にしていた時計のネックレスのチェーンが突然切れた。

まるで、何か不吉なことを予感しているようだった。

口を開けば、溜息、溜息。今日1日で何回溜息をこぼしたのか覚えていないが両手で数え切れないほどだ、というのは確かだ。

あの鬼のような上司、トントンさえにも心配されて始末で、

『お前、今日は休め』

と言われてしまった。

休暇をもらったのは良いものの、することがない。なので、適当に散歩でもしようかと城外に出で、近くの森へ散歩をしに部屋を出たのだった。

最近噂になってる例の[食人事件]の犯人はどんな気持ちで犯行をしているのかと、暇つぶし程度に思考を回す。

近くの大きめな石に腰掛け、どんな見た目のやつが犯行を行っているのだと地面に棒で、下手くそな絵を描いた。

顔を上げると夕日がでているようだった。眩しくて目を細めながらも、夕日を眺めた。

きれいだな、

なんて単調なことを思った。

暫く夕日を眺めると、夕日の光が遮断され顔に影がかかった。思わず目を開けると、そこには人がいた。黒いフードをかぶった青白い女。よく見ると顔には赤黒い何かがこべりついていた。

普通なら恐怖を感じる瞬間に、俺は、

きれいだな、

なんて、先程みた夕日と同じ感想を得た。

気付けば"きれいなひと"は、ズイズイとこちらに近づいていた。思わず後ずさろうとし、腰掛けていた大きめの石につまずき腰から転んだ。

すると、先程腰掛けていた大きめの石に"きれいなひと"は乗り、所謂ヤンキー座り？という座り方をし、座った。ズイッと顔を近づけてきて、彼女の髪が自身の顔にかかった。

彼女の瞬き一つ一つでなぜか胸がギュッとしめられたかのようだった。自身の顔に熱が集まり、胸が苦しい。

きれい、ほんとにきれい。

すると瞳に映る彼女はニコッと笑みを零し、

『かお、まっかだぁ』

と呟いた。

今日は憂鬱な日？