【呪術廻戦】さしす組の先輩達のお話【壱】 (ページ1)

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美しい月に恋をしたページ1

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夏油side

ーージィ、と穴が空く程目的の人物を車に寄りかかったまま真顔で見つめる。

携帯を弄る手が綺麗だな、後ガラケー両手持ちカワイイ。
景色を見て、また携帯に視線を戻そうとして……アッ、目が合った。
やっぱり、綺麗なアメジストの目だなぁ。

『夏油君、どうしたの？俺の顔になにか付いてた？』

｢…いえ、なんでも無いですよ。
呪霊はこの先の洋館ですよね？早く行きましょう｣

『了解～』

作り笑いを浮かべながら答え、隣に並ぶ。
流石に綺麗だから見つめてた、なんて恥ずかしいから口が裂けても言えない。
けれども補助監督の人は見抜いていたようで、手を振りながら何やらニマニマしている。

自分よりほんの少しだけ低い位置にある鴉の濡れ羽色の頭をジッと見つめれば、ふわりと花の匂いが香る。

『今回が初の共同任務だけど、緊張しなくても大丈夫。
夏油君は夏油君の祓い方をすれば良いから。
無事に終わったらご飯食べに行こっか、ね？』

｢…はい、ありがとうございます先輩｣

どうやら、私が緊張していると思ったらしい。
確かに心做しか声が固くなってしまっているような気がする。
真綿で包み込むような優しさに、キュッと胸辺りの制服を握り込んだ。

(あぁ)

(…好きだなぁ)

・

・

・

ーー突然だけど、私こと夏油傑には好きな人がいる。

それが、今回初の共同任務となる二年の一級術師こと夜寺美月先輩。
私が好きになったのは驚くべきことにそう、男であった。
今まで普通に接してきたし、時には女の子と付き合ったりもしてきた。

だというのに、私は初対面で見事に一目惚れという奴をかましてしまった。

最初は気の迷いだとか勘違いだとか色々葛藤したりしたけど、気付けば目で追ってしまう。
入学して一ヶ月経つ頃には完璧に開き直り、今ではこうして隙あらば目で追ったり絡みに行ったりしてる。
けれどまぁ、向こうが同じ嗜好だとは断じて思って無いし、付き合うのはまた別の問題だろう。

相手にぶつけることはない私の想いとかは別として。

少し前を進む細っこい肢体をジッと見つめる。

(……腰のライン、綺麗だよなぁ)

ただ、まぁ……私もれっきとした男であるが故に、どうして何割かは肉欲に傾いてしまうのは勘弁して欲しい。