肆.友の過保護も程々に ページ6
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夢主side
【蝶屋敷】
ア｢しのぶ様、抑えて！抑えて下さい！｣
カ｢しっ、師範……！｣
し｢お二人とも何故止めるんですか丁度新作の毒が出来たんで試したいんですようふふふふ｣
煉｢よもや………｣
『………｡』
ちょっとした修羅場になっているのを眺めながら、ズーンと顔を覆う。
先に連絡用に飛ばした鎹鴉の要が何とも言えない視線を送ってきているのが分かった。
旦那様はというと完全に固まっている、多分見た事ない修羅場に驚いてるなあれ。
そうだった…しのぶに相談するという事は場合によって修羅場化する事があるんだった…！
怪我を見てもらうのもあるが、私の一番の目的はあの女隊士についての情報だった。
一応怪我の原因については可能な限り伏せようと思っていたのだが、うっかり旦那様への根回しを忘れて物凄く純粋な瞳で事のあらましを綺麗にぶちまけてくれたおかげで今に至るという訳である。
まぁ、根回しし損ねた私が悪いのだが…。
蟲柱、胡蝶しのぶは私の親友だ。
彼女の姉……カナエが戦死する以前からの付き合いであり、毒の知識や身体の動かし方など参考にする部分も多くある尊敬する親友だ。
そのせいなのか分からないが、その……しのぶは私に対して少々過保護な部分があるのだ。
何なら旦那様が全て語ってしまった時『あっ』となったし、私の目が腐ってなければその時しのぶの笑顔から温度が消えた。
(かなり怒ってるな、アレ……)
今でさえ、弟子兼蝶屋敷の住人であるカナヲとアオイに全体重をかけて乗っかられながらもズリズリと床を這いずっている。
何故か普段優しいしのぶが
後手に持ってる薬瓶の色が怖い、何入ってるんだアレ…。
(うーん修羅場)
何度目か分からないため息を付きながら、置物と化した旦那様を再起動させようとむにっと頬を引っ張ったのだった。
【閑話休題】
し｢…なるほど、紬さん側に犯人との接点はまるで無いと…｣
『えぇ、今日が完全に初対面よ』
し｢ふむ……｣
その後、危うく隠の方が出動しそうになったところで私がしのぶに渾身の猫騙しを食らわせたところで事態は沈静化を迎えた。
猫騙しといえば、相手の顔の前で掌と掌を叩き合わせ不意をつく技である。
完全に自己流だが、効いたようで良かった。
し｢……華野 愛美｣
『え、』
し｢甲隊士、華野 愛美です。
…その顔は覚えがあるようですね｣
『……うっそ』
その名前に聞き覚えはあったが、しかし今此処で聞きとう無かった。
嫌な印象しかない名前に、私はげぇっという顔をした。
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作者名：朝霧 アテネ | 作成日時：2022年8月23日 23時
