【鬼滅の刃】炎柱様の女房ですが、柱候補(笑)に文句をつけられました (ページ23)

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拾玖.慌てなくてもとっくに両思いページ23

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煉獄side

…………本当に、こんな日が来て良かったと思った。

『うっっま……え、何これ罪深き的美味さ…(？)』

最初外つ国から輸入して来たという"ぱふぇ"と呼ばれる洋食を無我夢中で頬張る紬を我ながら幸せそうな顔で眺める。
油断したら頬が緩んでしまいそうだ。

…何かしら葛藤があるとは知っていた。

藤ノ宮の内情も、近年の衰退具合も。

世継ぎの為だけに送り込まれた、というのも粗方察しがついていた。
…だが、紬には申し訳ないと思っている。

…一目惚れ、だったのだ

俺は、今までの人生あんなにも衝撃を受けた事は無いと思っている。

電流が走った、とはまさにこの事を言うのだろう。
漆黒の髪に桜色の唇、そして凛とした雰囲気。
笑顔が見たいとも、そして欲しいとも思った。

だが不思議な事に、彼女は顔を歪めるではないか。

少し困惑したが、すぐに合点がいった。

……嗚呼、そうだ。

この子は、怖がりなのだ。
15歳という若さにして、名前しか知らない男の元に嫁ぐなどどれだけの不安を感じた事か。
自分が受け入れた立場であるというのに、不覚にも｢守ってやりたい｣という浅ましい事を思ってしまった。

だから、俺は待つ事にした。

紬の不安が取れるまで、紬が俺の事を本気で信じてくれるまで。

その時までずっと、ずっと。

(……だから、誘われた時どんなに嬉しかった事か)

何か訳がある事は何となく悟っていたが、それでも嬉しい事には変わりなかった。
少し俯きながら、耳を赤くして『休暇を…懇願してもよろしいでしょうか』と宣う彼女の何たる愛らしい事か。

嗚呼、良かった。

本当に、良かった。

煉｢……付いてるぞ、紬｣

『へ、』

他の者には見せないきょとんとした顔を、俺だけが見れるというこの変える気も無い真実も。

(……可愛らしい)

俺は意地悪なのだろうか、という自問自答を時折したくなってしまうが。

……なぁ紬、知ってるか？

あの夜、俺は途中で起きていたんだ。
鼻の奥を突くツンとした痛みに誘われるように目を開ければ、丁度顎の下に紬の頭があった。
俺が起きたには気付かなかったようで、ぽふぽふと一定間隔で腕を叩いている。

…どうやら俺は、魘されていたらしい。

けれど意地悪な俺は、そのまま寝た振りをした。

紬の熱を、ずっと俺だけが堪能していたいからだ。

(……もう二度と危険な目には合わせない)

これからもずっと、ずっと。

【それは純愛かそれとも依存か】

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