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大学の卒業を間近に控えた３月の半ば
わたしは母校である中学校で、
懐かしい制服姿のマサイと相対する。
「マサイ先生！数学全然わからないので
放課後教室で教えてください！」
「…Aは昔から数学は満点取ってたよな？」
「生徒を下の名前で呼ぶなんて、
PTAに怒られちゃいますよ？」
「…教師と生徒の設定はやめよ。俺も制服だし」
マサイが遠い目をして呟く。
自分でさっき数学の先生役やってたのに。
「マサイ先輩、今日一緒に帰りませんか？」
「Aの先輩になったこと無いぞ？
あの頃みたいに幼馴染の設定でいかないか？」
それはそうだろう。わたしが留年しない限り無理だ。
「…ちょっとマサイ！早く起きなさい！
もう、いつもこうなんだから。
毎朝幼馴染を起こさないといけないわたしの身にもなってよね？」
「…それは学校じゃなく家でやることだろ？
そんな事された覚えもないし。あ、おい舌打ちすんな」
後ろからメンバーの失笑が聞こえる
「あれ、なんでカメラ回してるの？休憩中でしょ？」
今日は企業案件で母校で撮影をしている。
スマホの機能紹介の動画を撮り、今は休憩中だ。
シ「面白かったからセカンダリであげるわ」
「ほんと？あと何パターンか撮る？」
「…まだやってみたい設定があるのか？」
「わたしが保健室の先生でー「それはやめてくれ」
マサイに言葉を遮られ、
シルクが無言でカメラをオフにしたのを確認すると、
懐かしい校舎を２人で歩き出す。
あの時より少し高い目線で校舎内を歩くと
中学時代の記憶を身近に感じて胸が切なくなる。
「…あの頃のAといるみたいだな」
とマサイがわたしを髪を触りながら言う。
頭の下の方で二つに結んだ今日の髪型。
中学の時はいつもこの髪型だった。
マサイがわたしを抱きしめようとするのを回避し、
制服のポケットから紙を出して、
驚いた顔のマサイの前に差し出す。
「ずっとあなたのことが好きでした。
…わたしと付き合ってください」
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作者名：にゃんこすき | 作成日時：2019年5月16日 17時
