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マサイの部屋のソファーに腰掛け、
彼がシャワーから戻るのを待つ
12月半ばに事務所との契約を済ませた。
ぺけたんとザカオとモトキにも報告し、後押しを貰えた。
後は告白するだけの状態だ。
マサイから告白するとは言われたものの、
わたしから言いたい。
鞄に忍ばせた手紙を取り出し、文字を追う。
15才のわたしの恋心を込めた手紙。
書き散らしていて笑えてしまうが
あの時の気持ちを捨てられず
ずっとずっと大切に保管してきた
わたしの暴走で遠回りになってしまったけど
もし過去に戻れるとしてもきっと戻らないだろう
あの時より深い気持ちで彼を想っている
部屋の扉が開き、髪を濡らしたままのマサイが入ってくる
「…A?泣いてんの?」
マサイが隣に座り、心配そうな顔で覗き込まれる
少し俯いていたから、誤解されたようだ。
「泣いてないよ。これ、後で読んで欲しい」
わたしはマサイに向き直り、笑顔で手紙を手渡す。
1人になったとき読んで、笑ってくれるだろう
「今じゃなくていいのか?」
「うん。それね15の時に書いたマサイへの手紙」
わたしが言い切る前に手紙を開けるマサイ。
その可能性も考えてはいたが、
目の前で読まれるのはやっぱり恥ずかしい。
「恥ずかしいから後で読んで欲しいのに…」
マサイが手紙の文字を追うのを羞恥に耐え見守る
便箋1枚分の短い手紙を読み終えると
「A、ごめんな」
言葉の意味を理解する暇もなく視界が反転する
ソファーに押し倒され口付けられているようだ
状況を理解したわたしはそのまま身を委ねる
「…Aが好きだ」
彼の気持ちに答えるように背中に腕を回した
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作者名:にゃんこすき | 作成日時:2019年5月16日 17時