センイルチュカヘヨ ページ26
午前0時 12月30日
そーっと開けたドアの隙間から部屋の様子を窺う
「あれ、いない？驚かせようと思ったのになぁ。」
部屋の中に入って、テーブルの上にケーキを置いた
「これ、どうしよう。無駄になっちゃったかな。」
頑張って用意した手作りケーキの上で、揺れるロウソクの火
とにかく、目を瞑って願い事をする
火を消そうと目を開けるたら、テーブルの向こう側にテヒョンが座っていた
「テ、テヒョン？！」
TH「ほら、消すよ。せーの、」
ふーっと、二人で火を吹き消した
「テヒョン、ハッピバースデー。センイルチュカヘヨ。」
TH「Aヌナ、ハッピバースデー。センイルチュカヘヨ。」
二人の声が重なる
今、私におめでとうって言ったよね
「テヒョン、どうして私の誕生日を知っているの？」
TH「んーっとね、これ。」
テヒョンが持っていた封筒を手渡されて、中身を見る
オッパが電話で言っていたミュージカルのチケットが入っていた
チケットには、手書きのメッセージも添えられていて
「こういうこと。」
TH「そういうこと。まさか同じ日だなんて、びっくりした。」
「私もびっくりした。」
TH「でも、嬉しい。」
にこにこ笑うテヒョンにつられて、私もにこにこ笑ってしまう
TH「あ、今のいい笑顔。撮ってもいい？」
「それは、こっちのセリフ。記念に撮らせてね。」
部屋の電気を点け、レフをかまえて数枚撮影する
TH「俺も撮りたいのに。せっかくなら、一緒に撮ろうよ。」
「うん。」
レフをセットして、リモコンを手にテヒョンの隣に座った
TH「それなら、ケーキのプレートにヌナの名前を書き足してっと。」
ポケットに忍ばせていたチョコペンを取り出し、器用にプレートへ名前を書いてくれた
TH「これで、よし。ヌナ、ケーキ持って。俺、ボタン押したい。」
「いいよ。はい、どうそ。」
リモコンを手渡して、操作方法を教える
最初こそアレだったけれど、テヒョンは優しい人
不思議と私を笑顔にしてくれる
TH「じゃ、撮るよー。」
「うん。」
リモコンのボタンを押す度に、シャッター音が室内に響く
TH「ヌナ。」
呼ばれてテヒョンの方へ顔を向けたら、柔らかい物が唇に一瞬触れた
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作者名：薫
| 作成日時：2017年12月15日 0時
