浮気? ページ8
ある休日。
買い物をしていた電化製品売り場のテレビに、三代目が出演していた。
歌っている隆二、久々に見たなぁ。
声もちゃんと出てるみたいやし、元気そうで、なによりやん。
見舞いへ行った日以来、隆二とは会えてなくて連絡も取れていなかった。
歌い終わったのを見届けて、目的の物を探して店内をうろついていた。
土鍋と炊飯器とパン焼き器?を値切って購入した。
必要な土鍋だけを持ち帰ることにし、他は配送手配。
『ええ買い物したなぁ。お兄さん、めっちゃ安してくれたし。』
上機嫌で店を出て、隆二のマンション近くにあるスーパーへと急いだ。
『コラーゲン入りの白湯で、鳥鍋にしよかなぁ。野菜たっぷり入れて。でもなぁ、こっちの味噌も捨てがたいねんなぁ。』
鍋の元が売っているコーナーでしゃがみ込み、一人ぶつくさと言っている私。
「どっちも、美味しそうだよね。」
不意に聞こえてきた声。隆二?
その場で振り返ってみたが、姿は見当たらない。
声が聞こえてきた方へ行ってみると、真裏にあるパスタコーナーに隆二がおった。
「クリーム系とあっさり系。うーん、どっちも食べたい。」
会ってなかったせいか、声を聞いただけで胸が締めつけられる。
「じゃ、どっちも作ろうか?」
「いいの?」
え、女性の声?一人やないん?
確かめようと、パスタコーナーの近くの商品の前に。
スラッとした綺麗な女性と一緒に居った。
女性「1種類でも2種類でも、手間は変わらないし。」
「やった、ありがとう。」
女性の方を振り返った隆二が、優しく笑う。
あの笑顔、このタイミングで見たなかったなぁって俯むいた。
あかん、泣きそう。でも、早くここから離れんと。見つかるんは、嫌やし。
俯いたまま回れ右をして、その場を離れようとした私の腕が掴まれた。
ゆっくり顔を上げた私を見て、驚いた顔した隆二が立っていた。
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作者名:薫 | 作成日時:2016年11月16日 3時