*健ちゃん ページ14
ちらちら寝室の方を見ている、理子。
「理子、そんなに心配か?」
「ねぇ。Aさん、どうしてあんな嘘ついたんだろう。」
「理子のことを誤解したんやろなぁ。」
「また、私のせい?」
ガクッと落ち込む理子の頭を優しく撫でる。
「あとは、隆二の為とちゃうかぁ。」
「隆二君の?」
「公共の場やったし。誰がどこで聞いてるか、わからへんからなぁ。」
「そう・・・だよね。」
「まぁ、そない気にせんでもええって。あの二人なら、すぐに仲直りしよるから。」
「本当?」
「大丈夫やって。お、茹で上がってきたんちゃう?」
夕飯のパスタが出来たので、二人を呼びに行く。
寝室のドアをノックして、声をかけた。
「パスタ、出来たでぇ。」
ドアが開くとAだけが、出て来てきた。
『健ちゃん、ありがとう。』
そう言って、隆二を待たずにキッチンへと向かう。
「また、何かしたん?」
隆「ん?なにもしてないよ。」
Aを見つめながら、にこにこ笑っている隆二。
「仲直り、出来たんやな。」
隆「うん。お騒がせしました。」
「健ちゃん、隆二君、用意できたよ。」
理子が、俺らを呼ぶ。
隆「お腹減ったぁ〜。」
「せやな。」
呼ばれた俺らは、お互いの恋人の隣に座って「いただきます。」をした。
四人でいろんな話をしている内に、理子とAが仲良しになったみたいや。
Aがフォークに巻きつけたパスタを食べようとしたら、隆二が声をかけた。
隆「それ、ちょうだい?」
『ええよ、はい。』
フォークを隆二の口へ運んだが、口を開けない。じっと、Aを見ている。
『はいはい。あ〜ん。』
渋々、隆二の要望に応えるA。
隆「あ〜ん。」
もぐもぐと笑顔で満足そうに食べている、隆二。
「健ちゃん、私もしたい。」
「えっ?あれは、恥ずかしいわ。」
「いいじゃん、しよ?」
隆二とAの前やで、ちょっとなぁ。
でも、ここで俺が渋ると理子の機嫌を損ねてしまいそうやしなぁ。
「それ、くれへん?」
「うん。はい、あ〜ん。」
「あ〜ん。」
目の前の二人が、俺らをがん見してくる。手で口を隠しながら。
隆二、笑ってんのバレとんぞ。A、お前もや。
チラッと俺が二人に視線を向けると、慌てて視線を逸らしてパスタを食べていた。
その後しばらく、理子に付き合わされている俺。
そんな俺を見て、肩が揺れている二人が視界に入った。
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作者名:薫 | 作成日時:2016年11月16日 3時