恋人の関係１：今市隆二 (ページ16)

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久しぶりにAと外食でもしようと思って、Aを迎えに会社へと来ていた。

「今市さん。」

名前を呼ばれて振り返ると、噂の高橋さんが立っていた。

「お疲れ様です。」

爽やかな、イケメン。笑顔が眩しい。

「お疲れ様です、高橋さん。」

彼が、驚いた顔をする。

「どうしました？」

高橋「俺の名前をご存じだと思っていなかったので、驚いてしまいました。」

「お世話になっている社員さんの名前くらい、知っていますよ。」

Aが、特にお世話になっているみたいだし。

高橋「その後、体調いかがですか？」

「え？」

高橋「ご存知かと思いますが、Aさんの同期で一緒に出張へ行っていた相手が俺でした。今市さんのことを聞いて一旦東京へ帰った彼女が、こちらへ戻ってきた時にひどく落ち込んでいたので。もしかしたら、今市さんの具合が相当悪かったのかと気になりまして。」

丁寧な言い回しだが、なーんか棘がある。

「そうだったんですね。その節は、ご迷惑をお掛けしました。」

俺は、ぺこっと頭を下げた。

高橋「いえいえ、もう大丈夫なら良かったです。」

向き合って、にこにこ笑い合う俺たち。

そこへ、七海ちゃんが通りかかる。

七「お疲れ様です。隆二さん、高橋さん。」

隆・高橋「「お疲れ様、七海ちゃん。」」

七「すごい、綺麗にハモリましたね。」

高橋「七海ちゃん、今仕事終わったの？」

七「はい、今から帰るところです。高橋さんは、Aさん待ちですか？」

高橋「うん。そろそろ、声かけようかなって。ほっとくと、終電ギリギリまで居ちゃうから。」

七「やっぱり、あの噂本当なんですね。」

高橋「あくまでも、噂は噂だよ。」

七「そうなんですかぁ？ところで隆二さん、今日、お休みでしたよね？」

高橋と七海ちゃんが、俺を見てくる。

「ちょっと、用事があって。もう行かないと。」

高橋「すみません、引き止めてしまって。」

七「ごめんなさい。」

「いいえ、高橋さんとお話しできてよかったです。七海ちゃん、気をつけて帰ってね。」

二人に軽く会釈してその場を離れた俺は、急いでAに電話をかけた。

高橋さんより先に声かけなきゃ、一緒に帰られちゃったら迎えに来た意味ないし。