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『待った。ちょっと、待って。』
ぐいっと肩を押し返す。
「だめ?」
『だめやないけど、気になる。』
「なにが?」
『隆二、泣きそうな顔してるで。』
「してないよ。」
目がキョロキョロしすぎやし。嘘つくの下手くそか。
じっと見る私の視線から目を反らして、隆二が頭をガシガシと掻いた。
そして、私の上に倒れ込んできた。
「・・・早まったって言うから。俺とのことを後悔してるのかなって。だけど、俺はAのこと手放すことなんてできないし。」
耳元で、ぼそぼそと話す隆二。
「これからのことは、誰にもわからない。それでも、一緒に居たくて傍に居て欲しいって思うのはAだけだから。」
視界に入った隆二の肩が、小刻みに震えている。
私が軽く放った言葉が、隆二を不安にさせたことに今気づいた。
ぎゅっと隆二を抱きしめる。応えるように抱きついてくる、隆二。
『しゃーないなぁ。一緒に、罰当たったるわぁ。』
私の言葉に体を起こした隆二。
「いいの?」
『それでも、隆二の傍に居りたいねん。』
隆二頬に手を添えて目を見て伝えた。
隆二は、私と視線を合わせたまま、ゆっくりと顔を近づけてくる。
唇が合わさる寸前まで隆二を見つめてから、そっと瞼を閉じた。
こうして、二人の関係が恋人の関係に変わった。
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作者名:薫 | 作成日時:2016年10月17日 3時