彼女の涙 ページ15
ずっと会いたかったAが、偶然部屋を訪ねてきた。
俺を見て、一瞬切ない顔をした。ねぇ、それはどうして?
すぐに部屋を出て行こうとするから、慌てて捕まえた。
小さい体は、俺の腕の中にすっぽりと収まってしまう。
何を聞いても『うん。』としか、答えない。
だから、意地悪をした。最後の質問だけ、変えてみた。
案の定『うん。』と答えたA。
その回答を取り消そうとしたが、そうさせたくなくて。
Aの顔を俺の方へ向かせれば、思ったより距離が近くて。
ずっと触れたかった唇が目の前に。 我慢できずに口づけた。
ほほに濡れた感触。
そっと唇を離すと、目を見開いたままAが泣いていた。
溢れてくる涙を指で拭った。どうして、泣いてるの?
『なんで、キスしたん?』
「それは・・・。」
『彼女、おるくせに。』
「彼女?」
『だって、折り返しの電話をしたら「彼なら、私の隣で寝てるわ。昨夜は、激しい夜だったの。」って言われて切られたし。』
はぁ?誰だよ、俺の電話に勝手に出たやつ。しかも、激しい夜?なんだそれ。
あの日Aを抱いて以来、誰ともそんな関係になっていない。
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作者名:薫 | 作成日時:2016年10月17日 3時