FiNAL EXiT〜Connecting the DOTS〜

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一部始終をみていた広臣にはわけがわからなかった。さっきまで艶然と微笑んでいたのに、殴ったのはこの女性なのに、いまでは恐怖に震えながら涙を流している。

またその姿が心細げで、守ってやりたいと男なら誰もが思ってしまうような愛らしさだった。


いや、でも殴ったのは……


広臣は手品でも見ているような気分になった。




と、そのとき覆った手のはしからのぞく女性の目と視線が合った。

その瞬間、その美しい唇の口角がくっとあがった。涙の粒を頬に光らせたまま。


音も立てずに女性は広臣にすりより「見てましたよね？ 助けてください。怖い……。また殴られたらと思うと……」そう言って鼻をすすりながら広臣の肩に顔をうずめた。


こころの底からわき出ているような不安げな声。笑っているようにみえたのは見間違いだったのだろう。



煙草の香りがふわりと漂う。


「とにかく出て行ってくださいよ！」ドレッド男にそう叫ぶ店員とそれに加勢する客でさらに騒然とする店内。


そのとき、広臣はたしかに聞いた。




女性は顔を隠しながらくくくっと笑っていた。




また淡く煙草が香った。



　



女性は巧みに広臣を店の外へと導き、誰もいなくなると向かい合って広臣の両頬に手を伸ばしながら言った。「わー、すごいきれいな顔！」そう言ってから美しい笑顔で、言った。「遊びに行きません？」


その頬にはまだ涙の粒が光っていた。

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