ページ ページ29
「だからあわてて追いかけたんだもん。女の子の涙をそっとぬぐってあげるのが王子であるオレの役目かな、と」
そう冗談めかして岩田が言ってもAはくすりとも笑わず、ゆっくりと口を開いた。
「泣かないですよ。泣かないですけど、こんなこと続けてていいのかなとは思うんですよね。彼には仕事もあるし、彼の人生もあるし」
きちんとした女性だな、と岩田は思う。
結婚しているのにどうして臣さんと、と最初は思ったがその思いは不思議なほどきれいにかき消えていた。
ひととひととしてこのふたりは向き合っているとわかったのだ。
そんな理屈はいまの世の中では通用しないのだろうけど。それでも。
「離れるなら彼女ができたとか飽きたとかでフラれる方がいいって思いながらも、いざ目の当たりにすると……なかなか、ね」
口を開こうとした岩田にAが「でも」と言葉を挟み込んだ。
今日は彼女の話をとことん聞こう。そう思い、岩田はうなずいてAの顔を正面から見つめた。
「わたしは離婚はできないです。夫は特別なんです。臣さんに離婚してくれって言われたら別れると思います。え？ もちろん、臣さんとですよ。でも臣さんのことはすごく大切なんです。ひととして。……自分がムシのいいこと言ってるのはよくわかってます」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 590人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「登坂広臣」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
happysmile2015(プロフ) - ユキさん» お、有益な情報ありがとうございます！みたい！ (2021年1月19日 17時) (
レス) id: 0bd754ef93 (このIDを非表示/違反報告)
happysmile2015(プロフ) - ともさん» いおりん、非常に具体的に顔も浮かべながら書いてます♪岩ちゃんはかなりひとを見るタイプなんだろうなと常々思うんですよねー。 (2021年1月19日 17時) (レス) id: 0bd754ef93 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - happysmile2015さん» 21日にモニタリング22日にはアナザースカイに岩ちゃんポメラニアン出るから楽しみですね(*≧∀≦*) (2021年1月16日 8時) (レス) id: 5f63e3cc55 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 子供のような表情かぁー岩ちゃんの観察力は、凄いなーそして離れられないふたりなんだね！いおりんと主人公ちゃんの関係性もとっても素敵！そっと主人公ちゃんの気持ちに寄り添ってくれて…素敵な親友ですね。 (2021年1月13日 23時) (レス) id: d8c1577b42 (このIDを非表示/違反報告)
happysmile2015(プロフ) - ともさん» 夢に出てくると本当に嬉しいよね〜。わかるなぁ。これだけ想っていてもはっきりと出てきたのははじめてだったのね。よかったね♪ (2021年1月12日 11時) (レス) id: 6737bcd620 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：happysmile2015
| 作成日時：2020年11月4日 16時
