4U 〜another version〜

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大学時代の友達の郁美は誰もが知っている有名なWebサービス会社の超難関といわれる入社試験を突破し、名物社長のもとでばりばり働いている。


「Aは？ いまどんな仕事をしてるの？」


この間、久しぶりに食事をしながら明るい声でそう聞かれて、なにも答えられなかった。

郁美はもう学生の頃とは全く違う空気をまとっていた。なんていうか、キャリアウーマン……。

それに比べてわたしは学生の空気を完璧にひきずっている。みんなにフォローされながらどうにかよろよろと進むわたし。なにも変わってない。情けないくらい。



まぁ郁美の質問に答えるとしたら「雑用」だろう。一応窓口業務もつとめるけれど、それだけではなく電話対応なども任されていて、それはつまり「雑用」だった。


誰でもできるような同じような仕事を日々どうにかこなしている自分がつまらない、くだらない人間に思えてくる。


もっとばりばり働くなり、だいすきなひとと……


そこまで考えて、顔がにやける。



さえないわたしの毎日を明るく照らしてくれるひと。


岩田先輩。


その端正で優しい笑顔が浮かぶ。


「A」


そう呼ぶ低い男らしい声が聞こえる。


その瞳に映るわたしが見える。

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