ブレスレット ページ49
「岩ちゃん、会いたかった。」
玄関のドアを開けるなり、飛びついてきた萌花
「はいはい、ここ玄関。」
「だって、我慢できなくて。」
彼女に手を引かれ、リビングに向かう
我慢していたというのなら、その痕は何?
せめて、髪をおろして隠しなよ
「キス、しよ?」
ソファーに座った途端、ねだられる
「まだ?」
目を瞑って待っていた彼女だが、待ちきれない様子
「もう、早くしてよ。」
しびれを切らして、覆いかぶさってきた
迫ってくる甘い香りと、グロスでテカテカの唇
「ごめん、無理。」
彼女の体を押し返し、ソファーから立ち上がる
「帰る。」
誰でもいいとつき合った罰が、当たったのかもしれない
エレベーターから降りて、もう一台の前を横切った瞬間
乗っていた人物に、自分の目を疑う
今のって、健二郎さん?
「それは、ないよな。」
早く帰って、服に付いた微かな移り香を消したい
「連絡しておくか。」
携帯を持つ手の手首に、ブレスレットがない
まさか、落としてきた?
探しながら、歩いて来た道を戻る
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作者名:薫 | 作成日時:2021年5月7日 18時