Room No.312 岩田剛典様 ページ43
信号待ちの車内から、何気なく外を見る
見知った顔が、ふらふらと店から出て来た所を発見
「ったく、アイツ。運転手さん、すみません。ここで、降ります。」
多めに料金を払ってタクシーから降り、アイツの元へ
幸い、人目も少なく助かった
小走りで駆けつけ、ふらつく体を支える
「・・・剛典?」
「ちょっと、俺の彼女に触らないで下さい。」
俺の彼女?!
店から出て来た男に、アイツを奪われる
「知り合いだから、大丈夫。」
「そう。でも彼女は、俺が送って行きますので。」
すっと腰に手を回した男に促され、アイツは行ってしまった
「知り合いって、何?男ができたとか、聞いてないけど?」
ぽつ、ぽつと静かに降り出した雨
顔を上げた俺の頬に落ちた雫が、すーっと流れ落ちてゆく
まるで、涙のように
「・・・今だけ、いいよな。」
声を押し殺し、雨に隠れて泣いた
「げほっ、げほげほげほっ・・・ヤバい。」
感傷に浸って、雨に打たれるとか
さっきの俺、どうかしていた
「・・・アイツには、頼らねぇし。」
そう思っていたのに、具合の悪さには勝てず
結局アイツを頼る羽目になる俺
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作者名:薫 | 作成日時:2021年5月7日 18時