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健二郎は、大事な友達 ページ35
「A、冷めない内に食べよ。」
「うん。」
別れてから、直人が私に触れるなんてなかったやんな
変に意識するのもおかしいし、平常心って自分に言い聞かせる
「美味しかったぁ。お店に行って食べたいなぁ。」
満足したお腹を撫でながら、ビールを飲む
「A。」
「ん?」
「健二郎から飲みに行きませんか、だって。」
そういえば、しばらく健二郎に会ってないかも
萌花ちゃんを含めて頻繁にしていた飲み会も、ここのところしてへんかったし
「久々やね。何かあったんかな。直人、聞いてる?」
「それは、俺の口から言えない。」
「何やのそれ。」
「気になる?心配?」
「当たり前やん。健二郎は、大事な友達やし。」
「ふ〜ん、友達ねぇ。」
「何よ、その言い方。」
「今が、チャンスかもよ?」
「何の?」
「健二郎を奪う。」
「何言うてんの、あほちゃう。」
「時には、ズルくなりなさいよ。」
「もう、ズルしてるもん。」
別れた直人に、ずっと甘えてるやんか
こういうの、世間ではズルい女って言うんやろ
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作者名:薫 | 作成日時:2021年5月7日 18時