Dear my besties 14 〜from Finally〜

☆ ページ12

写真を指さしたAが言う。


「直人！ ここ！ ここだと思う！ うん、そう。ここしかない！」


Aがそんなことを言ったのははじめててオレは驚いた。

しかもAが選んだこの土地は、ここに並んだみっつのなかで一番可能性が低い物件だった。



長い入院からようやく退院できたのを喜んだのもつかの間、Aは七ヶ月ほどで病院に逆戻りになってしまった。

最善を尽くしたいという直己の言葉にオレはうなずくしかなかった。長い目で見れば、目先の楽しさをとるのではなくいまきちんと治療すべきだという理屈も、Aを含めた家族全員が納得できた。



仕事をしながら物件探しに奔走していて、ようやく本決まりになりそうな物件が一度にみっつも出てきてオレと臣は舞い上がっていた。


病室のAに三枚の写真を見せてこのなかのどれかに決まると思うと告げると、おもむろにAがそのなかの一枚を指さした、というわけだ。




確かに場所のわりに値段も手頃で一番いい物件なんだけど、先に手をあげている企業があり、まだ確定ではないがそこでほぼ決まりだと思うと不動産屋にも言われていた。


「ほら、たぶん近くに高台があって公園が見えるはず。……でしょ、それがポイント！ ……知らない。行ったことないけどなんかそんな気がする。ふふっ、超能力？ 霊感？ そんなのゼロだよゼロ！ なんでだかわかんない。わかんないけど今回はなんかそう思う！ これきっとうまくいくよ、直人！」

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