Dear my besties 10 〜from Finally〜

☆ ページ46

けれど運命の神様は本当にいたずら好きで、少しずつ彼女との距離は近づいていき……いや、嘘は見苦しい。本当のことを言えば僕が少しずつ距離を縮めていったのだ。


だが誓って言う。彼女の経営するお店へ通い、食事を食べ、その笑顔を見るだけ、本当にそれだけで満足しようと決めていた。本当だ。


ところがその女性の病気が再発し、その後紆余曲折あった末、彼女の仲間たちにあたたかく迎え入れてもらえた。

彼女のことをこころから想い、愛しているひとはたくさんいて、その仲間に入れてもらえただけでも嬉しかった。そのうえ家族の一員になれたなんて僕は本当に幸せだったし、そのことそのものが光栄だった。


みんなそれぞれに素晴らしいひとたちで、旅行に行ったり食事をしたりと経験したことのない距離感での付き合いが深まっている。


家族というもののあたたかさをよく知らなかった僕は、この疑似家族という密な関係にはじめこそ戸惑ったものの、その素晴らしさに感銘を受けた。


いまではこの家族ひとりひとりを愛していると言い切れる。もちろんそんなことを言葉にはしないけれど。


彼らに問答無用で受け入れてもらえているというこの安心感をどう言葉にしたらいいのか、僕にはわからない。


僕はこの仲間を、家族を、大切な宝物として育てていき、決して壊したくないと思っている。




僕たち家族には共通の夢がある。


どうにかしてこの夢を実現させたいと思っている。


いや、実現させなければならない。

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