Dear my besties 10 〜from Finally〜

☆ ページ20

食事を終えて部屋に戻ると、Aと結花に渡したいものがある、と臣が言った。言ってからやっぱりいい、でも、あ、やっぱいいなどとぐだぐだと迷い続ける臣のおしりを文字通りけっとばしたのは結花だった。


臣が巨大なボストンバッグからおずおずと取り出したのは絵だった。なぜ一泊なのにこんな大きな荷物を、と思っていたけれどそういうわけだったのか。


それは写実的な水彩画だった。


わたしの肩に頭をのせた結花。わたしがその背中に腕を回して抱き寄せ、ふたりで微笑みあう一瞬を切り取った絵だった。


薔薇色の頬をしたわたしたちの頭の上には大きな虹がかかっている。





思わず口元をおおった。

言葉が出ない。




みんなが口々に言う。


「え、これ臣が描いたの？ 写真じゃなくて？ うそでしょ？ マジで？」

「スゲー！ ふたりともそっくり」

「登坂さん、これは本当に……素晴らしいですよ。職業を間違えていませんか？ 転職すべきでは？」

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