登坂広臣に、嫁ぐことです

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「お先でした。」


撮影を終えた臣さんが、戻って来た


己「臣、お疲れ。次は、誰だって？」

臣「直人さんと直己さんです。お願いします。」

人「うん。」

己「あぁ。」


さり気なく臣さんの視界から、俺を隠してくれた直己さん

見つからない様に、箱を鞄へ戻す

やってしまった・・・

落ちた指輪が、ころころと転がって


隆「あっ。」


手を伸ばした隆二さんより早く、臣さんが拾いあげる

指輪を見て、臣さんの顔つきが変わってゆく


E「臣？」

「岩ちゃん・・・これ、どこで？」


健二郎さんたちにした説明を臣さんにもする


健「それ、男物の指輪やろ？まさか、例の浮気男のか？」

隆「それは、ないでしょ。」

「じゃあ、誰のかな。」

臣「俺のだよ。」

E「え、マジで？」

健「またまたぁ、そんなん言うて。」

臣「マジだって、ほらっ。」


俺たちに、指輪の内側を見せてきた

たしかに「Omi」と、彫られている


臣「美容師学校時代に作ってもらって、二十歳頃までずっと嵌めていたから。」

「二十歳頃って、10年前だよね？」

臣「あぁ。」

健「こんな偶然って、あるんやろか。」

「Aさんが、臣さんの指輪を大切に持っていたなんて。」

臣「やっぱり、運命だよ。俺とAさんは、昔から縁があった。」


嬉しそうに指輪を眺めている臣さんとは対照的に、複雑な表情の隆二さん

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