登坂広臣に、嫁ぐことです

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喉が渇いて、目が覚めた

ゆっくり体を起こすと、私の足元で丸まって眠っている登坂

――― 俺のお嫁さんになって下さい

どうして、私？わざわざ、おばさんを選ばなくても

若くて綺麗なお似合いの素敵な人が、登坂の周りには大勢いるじゃない


「・・・クシュッ。」


パタパタと手を動かし、何かを探している様子

床に落ちている毛布を見つけ、ベッドから降りて拾い上げた


「もうすぐツアーだって始まるのに。」


毛布を掛けると寒くなくなったのか、表情がやわらぐ

起こさないように部屋から抜け出し、キッチンへと向かう


「・・・ふぅ〜。」


水を手に取り、だるい体をソファーで休ませる

テーブルの上で震える携帯


「・・・和樹？」


つい最近までつき合っていた元彼だ

別れた理由は、浮気をされたから

しかも相手は、私より一回り年下の可愛い女の子

でも、そんな和樹が別れ際に言った言葉が頭から離れない

―― つき合ってからも、ずっと・・・俺の片想いだった


「浮気の原因は、私にあったってことだよね。」


今さら、何の用なのか

話す気にもなれず放っておく

一旦切れたかとホッとしていれば、何度もしつこく鳴る携帯

「何なのよ。はい、もしもし？」

「あ、俺。」

「何？」

「えーっと。今、ひま？」

「は？」

「だから、時間ある？」

「ない。」

「即答かよ。」

「それじゃ。」


切ろうとしたら、大きな声で叫び出す彼

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