登坂広臣に、嫁ぐことです

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一華side


「Aさん、このスケジュールでいきます？」

「そうだね。あとは、臨機応変に対応するしかないか。」


臨機応変って、事もなげに言う

そんな事が出来るのも、Aさんだからなのに

この会社に入って良かったことは、Aさんという上司に巡り合えたこと

悪かったことは、Aさんを通じて臣君と出会ってしまったこと

私の長く切ない片想いが、始まってしまったから


「Aさん。」

「ん？」

「結婚しないんですか？」


本気で結婚する気がないなら、はっきりと断って欲しい


「しない。一華まで、それ言う？」


迷惑そうな口調

それって、どこまでが本心ですか？


「だって臣君が、聞いてくるので。」


それも毎日、もちろんAさんのことを


「何を？」

「Aさん、どんな感じって。俺のこと、意識してくれているかなぁって。」

「あのバカ。今すぐ止めるように言う。」


そんなことされたら、困る


「迷惑とかじゃないし、大丈夫ですよ。」


私が、臣君と繋がっていたいから


「一華がそう言うなら、放っておくけれど。」

「結婚できない理由でも？」

「それ、臣に聞かれたの？」

「いいえ、私が聞きたいなと思って。」


私なら、今すぐにでもお嫁さんになるのになんて思いながら


「んー、何だろうね。」
「どういうことですか？」

「私にも、わからない。」

「それ、本気で言ってます？」

「うん。」

「・・・臣君、かわいそう。」

「ん？」

「いいえ。そろそろ、準備しましょうか。」

「そうだね。」


臣君を振り向かせたい気持ちが、強くなる

そうなれば、私のとる行動は一つ

まずは、意識させること

Aさんの部下でも隣人でもない、一人の女としての私を

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