Dear my besties 6 〜from Finally〜

☆ ページ38

本格的に冷え込んできたので部屋に入って軽く食事をとりおしゃべりしているうちに、ホント今年はあたしよく頑張った、疲れたとつぶやいて結花がソファで眠り込んだ。



撮影からクリスマス、年末とわたしたちは走り続けた。結花は本当によくついてきてくれたと思う。ついてきてくれたどころかわたしが引っ張ってもらった部分もたくさんあった。

来年はどんな年になるのだろう。結花と一緒ならどこまででも行けるような気がした。人生が何倍も楽しくなっていた。


ありがとうねとこころのなかでつぶやきながら寝室から持ってきた毛布をかけてやる。ぶふーと大きく鼻息をついて眠る結花が愛おしかった。



なんとなく気力がありあまっていたわたしは、ふと思い立ってエリーくんの店に行くことにした。


『結花へ
エリーくんのお店に飲みに行ってくるね』


とだけ一応書き残して出てきた。



しんと張り詰めた冷たい空気を全身で感じながら歩き出す。今年一年を振り返る。直人と付き合い始め、お店が軌道に乗ってきた頃に結花が現れて、夜の部がはじまり、本を出版することになり……


素敵な一年だった。

もしかしたらいままで生きてきたなかで一番のしあわせな一年だったのかもしれない。


ふいに小林先生のしかめっつらが浮かぶ。そうだ。来年は身体は大切にしなきゃ。そう。大切にしてればきっと大丈夫。



「にーてーる！！！」と叫んだ結花の笑顔が浮かぶ。



マフラーにあごをうずめながら微笑む。来年はもっといい年になりそうだ。



エリーくんのお店の階段を足取りも軽く降りていく。

☆→←☆

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す