Dear my besties 3 〜from Finally〜

☆ ページ8

トイレに行こうとしてAさんを振り返る。離れるなって言われたからには一言断っておかないと。けれどAさんのまわりにはひとがいっぱいだった。

みんながAさんと話したがっている。美人だからというだけではなくて仕事の話をしたがってる。


このひとはすごいなぁと改めて思う。



最初は頑固な変人だと思ってたけど、それもあたしたちのArcobalenoのためという物差しでみればすべてが納得できた。

味も、Aさんも、店の雰囲気も、うちの店はトータルでイケてると思うようになった。もっともっとみんなに来てほしいと思うようになっていた。

Aさんには言えないけど、いつからかあたしたちのお店という気持ちを強く持つようになっていた。Arcobalenoに愛情を抱くようになっていた。


自慢の店だ。そう思えるところで働いていることが誇らしかった。



トイレから戻ってきたらAさんがおっさんにべたべたと身体を触られてるのが遠くから見えて、むちゃくちゃ腹が立った。

どうにかして助けなくちゃと思った。でもしゃべっちゃダメって言われてたし、どうしたらAさんを助けられるだろうと必死に考えた。


まるで飼い犬のようだと思った。

ご主人様を守るいぬ。


……。


ご主人様？ 守る？ はぁ？ なに言ってんのあたし。バカみたい。


そう思ってウェイターの捧げ持つトレイから受け取ったシャンパンをあおったときにセクハラおやじの怒鳴り声が聞こえて、その言葉があまりに偉そうで理不尽すぎて、次の瞬間には身体が動いていた。

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