Dear my besties 3 〜from Finally〜

☆ ページ37

「やっぱいいや。聞きたくない」


そう言ってうつむいた目がふいに大きく見開く。わたしの手をとった。


「ブレスレット……。してないんだ。そっか、はずしてるってそういうことだよな。絶対にどんなときもはずさずにつけるって言ってたのに。ブレスレットをはずして誰と会ってたんだよ……A！ なぁ！」


痛いほどわたしの手首を握りしめる。


ものすごい力だった。


思わず「いたいっ」と肘を引く。


と、直人自身がどこか痛むような表情を浮かべてその手を離した。わたしの手がだらんと垂れ下がる。


「ごめん。なんか……ダメだオレ。情けねーな。ちょっと向こうで頭冷やしてくるわ。帰ってくるの一ヶ月くらい後だからちょうどいい」

「え、一ヶ月も……？」

「うん、もっとかも。仕入れと旅行もかねて毎年これくらいの時期に行ってるんだ。期間は決めてない。友達もあちこちにいるから去年は二ヶ月行ってた。この時期にまとめて休むために普段はあんまり店も休まないことにしてるんだ。……そうだよな、そんなことも話したことないんだよな、オレたち。まだ付き合って一年たってないんだもんな」


そう言って笑ってみせた。

……つもりなのだろうけれど、その顔は引きつっていた。見ていられずうつむく。


「Aと離れてよく自分の気持ちを見定めてくるよ。じゃあ」


そう言ってくるりと踵を返すと走り出した。

わたしの足は根が生えたように動かなかった。




そんなわたしたちを陰からにやにやと笑いながら見ているひとがいることをわたしは知らなかった。

第9章 Each life has different colors. 〜主人公's eyes〜→←☆

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