Dear my besties 3 〜from Finally〜

☆ ページ18

「うわは〜全然わからん！」

「あかん！ 卵割れてもーた！ すいません！」

「かきまぜるくらいはできます！ できますできます！ オレやりますわ！」

「あ〜すいません、こぼれてしまいました……」



今日の料理教室はいつもとは雰囲気が全く違う。


なぜなら。男性が飛び入り参加しているから。


昨日、うちで食事していた山下さんが料理教室に参加したいと言い出した。最近は小林先生と一緒ではなくひとりで来店してくださることも多くなっていた。



お教室はちょうどキャンセルが出たところだったのでどうぞと答えた。受けたいというからにはある程度の知識があるのかと思っていたら包丁の握り方からめちゃくちゃだということがわかり、内心わたしは焦っていた。



けれど、いつも主婦とOLがメインのおだやかな教室が、今日は意外なほど活気にあふれていた。



整った濃い顔とすらりと伸びた手足、そして陽気な関西弁に、女性チームはすっかり骨抜きにされ、失敗すらもあらあらかわいいわねぇで済まされていた。



料理教室のサポートをしながら明日の仕込みを終えた結花ちゃんが、わたしの隣にそっと立って他のひとには聞こえない声で言う。


「あのひと。健ちゃん。Aさんのことすきなんじゃないの」

「えっ、まさか」

「だってめっちゃAさんのこと見てるよ。さっきなんて他のひとに教えてるAさんにみとれて卵落っことしてたし。マンガか！ って感じじゃない？ だって普通来ます〜？ あんなに料理下手なのに。ったくあいつ、しょうもなー」

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